131書き物。ウルダハにて。

飛空挺。

大空を優雅に、そして安全に翔る乗り物として、各国の交通の要として。

以前は戦争にも使われ、実際。帝国にはその部隊すらあるという。

しかし。

現在にいたっては、各国の政治的、及び、地位や、財を得たものだけが使える手段であった。

が。

どういったわけか、一般人にも開放されるという。

ただ、もちろん。それなりの金額が要るわけだが・・・。




「かあさん!」鬼哭隊の一隊員であるネルケ青年は、かなり興奮しながら、同じく隊の副隊長を任される母にこう言い出した。

「飛空挺の無料チケット、もらってきた!」

「へ?」とは、栗色の髪を短くまとめた女性。

場所は鬼哭隊の詰め所。またの名を槍術士ギルド。仮面を着けた女性の表情は知れない。

周りには鍛錬に励む隊員や、訪れる旅人や、冒険者の応対をしている隊員もいる。

そのなかで。

昼下がり、昼食休憩などから戻り、さあ、これから!と意気込みや。
「まことに申し訳ありません、その件では・・」と対応に困る隊員。
昼休み返上で鍛錬にいそしむ隊員。



ゴスッ!



スウェシーナは持っていた槍(練習用。刃はない)で思いっきり息子の頭を殴っていた。




「ねえ、父さん。ヒドくない?」と息子からの被害報告を受けるシュタム。
「あのな。ネルケ?確かに朗報だ。間違いはない。
だがな、仕事の最中に抽選場に行って、特等の賞を当てたからと言って、そのまま職場で自慢げに、
それも母さんは立場もある。仕方ないだろう?いくら昼の休憩だったとしてもだ。」

茶色の髪は親子ゆえに似ているが、顔つきはやはり息子は少し頼りない。
義理の父が言っていた、魔女の師匠はこの子をどう見るだろうか?

「そのくらいはわかってるわよね?」

バタン。
ドアを閉めて、入ってきた栗色の髪の女性。仮面はもう着けていない。

トレイには夕食の残りを少しアレンジしたサラダと、カップ、ティーポット。

「スゥ!」と気は優しいが、少し大丈夫?みたいな、ちょっと頼りにしてもいいかな?と微妙な旦那。
「まあ、せっかくなんだし。そのチケットでどこか行って来たら?女の子でも誘って」と、あくまでからかう。スウェシーナ。

「スゥ!、その、ネルケには、そのあれだ。誰か居るのか?」
「さぁて?」と、コレばかりは判らない。魔女の娘にホレたとか言い出したらソレこそ全面対決も辞さないが。

「まあ、その。」と話題をかっさらいまくりの息子。

「僕はいいから、二人でどこか行って来れば?」

これには不意を突かれたが・・。
「せっかくだけど、ネルケ。俺はまた明日からしばらくクルザスに駐屯が決まっててな。そのチケットは使えないな。」
「じゃあ、かあさんは?」
「うーん。わたしも。。というか、予定はあなたもあるでしょう?」
「そうだけど。かあさん、副隊長だし休暇の都合とかつけれないの?」
「うーん、そうなんだけど・・、あの男に借りを作るのもシャクなのよね・・。」
「もしかして、シュテーネン副隊長?」
「あのリビングノート(生きてる帳簿)。すっごい細かいの。確かに居ないと困る人材だけど・・。融通きかないからねえ・・。」

「でも、まあ最悪デジョンとかで帰ればいいんだし。そんなことより、飛空挺に乗れるんだよ?タダで!デジョンやテレポとは違うって!」
「じゃあ、ネルケ。ドコに行きたいの?」
「決めては無いけど・・・。ウルダハに行って、その後フェリードックからリムサ・ロミンサってコースがよくないかな?」

「ウルダハには行ったことあったっけ?」
「うん、一度。」

(うー・・。このコース、ヤツ好みというか・。会う確立は100に近いわね・・。)

「まあ、申請しておくわ。」(おりません様に。)
「あの子に会ったりしたりねw」

「え?」


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これはあれだ!!
全面抗争の前触れだ!!
Bob Dalus (Hyperion) 2012年01月19日 23:19

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>ぼびー、いらっさいw
さあて?w
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年01月20日 05:23

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スゥさんの旦那さんもいい人そうですねー!
ちょっと頼りにしてもいいかな?は笑っちゃいました。
支えあえる関係もいいもんです。
Alto Springday (Sargatanas) 2012年01月21日 11:55

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>アルトさん、いらっしゃい♪
ナインアイビーでアクビをしてるトコを魔女に吹っ飛ばされたという、十字架を背負ってるのでw
支えあうのはいいですね♪
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年01月21日 12:22

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