124書き物。ZERO-2

グリダニア、と聞けば「ああ、幻術士か。」
と言われる位には他国に知られる国。

他にも槍術士や、弓術士のギルドもあり、もちろん他にも園芸や、木工、革のギルドなんかもある。

しかし、やはり有名なのは幻術士ギルド、碩老樹瞑想窟(せきろうじゅめいそうくつ)と呼ばれる、大木をくりぬいた空間。

何人もの幻術士達が訪れ、瞑想に耽っていく。


一人の少女が導師とよばれる女性に話しかける。
「ねぇ、どうしてあの人たちは、あんなことしてるの?」
長い毛の生えた尻尾と、とんがった耳を持つ種族、ミコッテ。
比較的グリダニアに多いらしい、とは聞いたことがあったけど。見た感じでは、いろんな人がいるとおもう。

「瞑想は、大いなる森との意思の疎通に欠かせないもの。すなわち、精霊と心を通わせるための準備ともいえます。」
ミコッテはそう答えた。

「ふうん、大変だね。」と少女。
「あなたも、やらなくてはなりません。幻術とは、すなわち精霊の声を聴いて、その加護を得るもの。まず対話が出来なければ話にもなりませんよ?」
「じゃあ、こういうのはどうなの?」と、少女は精霊から聴いた呪を紡ぐ。

青い光に包まれた少女は自慢げに腕を振る。そして呪が結ばれた。

「な!」
ミコッテの導師は信じられない顔で少女を見る。

「ねぇ?これってどう?」とイタズラを成功させた笑みを浮かべて。「やってみなよ!って、森から聴いたの。」

「プロテス・・。ですって・・。信じられない・・。」
「ふふー。」と満面の笑みの少女。

「わかりました、レティシア。あなたは類まれなる資質があるようです。今後、もう少し上の修練をするとしましょう。あの子も喜ぶでしょう。」と無表情に言う。が。
目元が少し潤んでいる。

「あの子?」と何のことか分からない少女。

「ええ、あなたを託した、サ・ヴィントです。私の妹。制止を振り切って飛び出してしまって。その後は・・。」目を瞑る。

「ごめんなさい。。」
「あなたが謝ることはありません。あの子が決めてしたことです。」
「はぃ。」
「でも、その想いがあるのならば、しっかり修練をしてください。」
「はいっ!」少女の表情は明るい。



仄かに燈る明りの下。
「なんだか聞いた話だが。幻術士ギルドに逸材がいるそうじゃないか?」
「そうみたいですね。」
「ところで、預言者様はどうされている?」
「そうですね、まだ御三方とともに眠りに・・。」
「なら承認はできないな。」
「なにが?です?」
「まだ御子さま達にはご判断を仰げない、預言者様にも判断がつかないのであれば、こちらで決めてもいいだろう?」
「それは、どうかと・・。」
「なに、その娘はアラミゴからの難民なのだろう?」
「ええ、そうらしいです。」
「しかも孤児だそうだ。幻術士ギルドもボロを出したくあるまい。かくまえば誰かが少し辛いことになるだろう。」
「はぁ。」
暗にその娘を密偵にするなり、武器にするなり、いかようにでも動かそうとするつもりだ。
「その・・。」
「なんだ、お前が替わりにクルザスからアラミゴまで偵察してくれるのか。それは助かる。では、明日出立で予定を組んでおこう。」
「ま、待って下さい!!!、すぐに手はずを。」
「ウルダハには行って来いよ?剣術でも格闘でも何でもいい、教師を連れて来い。」
「はい・・・。」


「シ・ヴェテックト導師!」レティシアが声をあげる。
「どうした?レティ。」とミコッテの幻術士が優しく声をかける。
「今日で、師からの教えは終わりだと聞きました。本当ですか?」と目が潤んでいる。
「そうだな。本心から言えば、残念だ。代わりの教師も来ていると聞く。
なんでもウルダハから招聘、といってもわからないか。呼んだそうだ。
ただ、格闘の技術を指南するらしい。今までとは違う修練になる。」少し苦い表情。

「なんで?どうして?」とすがりつく少女は、涙を止める事をしない。

「本当にすまない。最後まで見てやりたかったのだが。私にも事情があってな。・・・
まったく。姉妹そろって名前の通りか。」
「???」
「私の名前は「曇り空」だ。アラミゴでは違う言い方だったろう。妹は「風」だ。
こうやってなにも出来ずにもやもやしている私とは違って、
颯爽と吹いた妹はお前を私に引き合わせるほどに。曇り空とは。やりきれないな。」

「・・・。」声もない少女。
「気にするな。だが、精進しろ。くだらない政治に使われながらでも、自分を持て。お前に降りかかる災難を糧にしろ。」
「はい。」
「後は、私の昔使っていた小屋が森の中にある。好きに使うといい。最後の手向けだ。」
「ありがとうございます。」


一室にて。
「難民を黙って匿っていたのはキミかね?えーっと。」
「シ・ヴェテックトです。」
「責任を追及したいところだが、キミの妹も関わっていたらしいじゃないか?」
「はい。その通りです。」
「これは幻術士ギルドにとっての不祥事、という事でいいな?」
「いえ、我らが姉妹の勝手な行動。ギルドには虚偽にて件の少女を弟子入りさせました。
沙汰は我ら、と言いたいのですが、妹はノフィカ様の御許に居ますゆえ。私だけで沙汰を受けようと思う次第です。」
「なら、このグリダニアから永久に追放する。いいな?」
「はい。わかりました。あなたには人の気持ちなど一生わからないでしょう。」
「この!」
さっさと立ち去る「元」導師。



「ああ。なんとすがすがしいことか。」
幻術士のミコッテは、大きく伸びをした。

自分をここまで出した事はこれまで無かった。
いつも自由奔放な妹を叱り、押し付けてきた。
なんだ、やれば自分でも出来るではないか。

さて。この先はどうでも出来るだろう。
最初で最後の生徒は、どうしているのだろうか?どうするのだろう?
まずは、妹が果てた地にて、トレントと会話をしよう。
あの子が守ったものは、どのくらいの価値があったのだろう?
その先に精霊の怒りを受けたとしても、後悔はすまい。









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シリアスなZERO編。見たら分かる人も居るでしょうが、Fate/ZERO
のパクリネーミングな上に、お笑いはほとんど無しw
それと、文字数が他のSSと違って多いですね。
いろいろと。

誰の台詞か判らないところもありますが・・。流れで読んでいただければ・・・。
前の夢の辺りまでは、ZERO編をしたいかなあとw


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FateZERO面白いらしいですねー。(友人談)
隠遁する導師、いいですねー。
実は生きててまゆと出会うなんてのもいいなー!!
Alto Springday (Sargatanas) 2012年01月14日 13:34

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>アルトさん、いらっしゃい♪
おもしろいですよw春に2ndシーズンがあるみたいです。
隠遁というか、自由を満喫できるようになったというか。
この導師にはまだまだwMayuri Rossana (Hyperion) 2012年01月15日 08:08

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