103書き物。グリダニアでの別件からリムサなんかに。

「よーバデロン!」

海洋国家、口さがない人たちは海賊国家と罵るが、エオルゼアでは3大国家として認知されている。
むしろイシュガルドなど、有名無実になりつつある。この先はわからないが、ゼーメル要塞を陥落されては、おいそれとは名乗れないだろう。
帝国の影はいつでも見え隠れしている。


そして。
リムサ・ロミンサ。海洋国家。またの名を海賊国家。
堂々と、あるいは欺瞞の元に旗艦、アスタリシア号が停泊しているが。


その元クルー、バデロンは足を洗った後、酒場を経営している。
レストラン「ビスマルク」とタメを張る規模の酒場で、冒険者ギルドも兼任している。

そして。

目の前の災厄に、またしても頭を悩ませるのだった。

「よーバデロン!」
またですかい・・。

「いらっしゃい。魔女サン。まさに魔女な格好ですが?」
少し位、皮肉を言ってもバチはあたるまい。

「・・・Θ・・・к・・Ψ・・・ξ・・μ・・・∟・・・。」
「ちょっと待って!!!お店の中で魔法はダメだってっ!!!」
バデロンは慌てて手を出しながら抗議をする。
「レティ、本気で唱えてなかった?今。」
「ち。」
「今、ち。って聞こえたよ?」とスウェシーナ。
確かにフード付きのローブだと、言われたって仕方ない。かもしれない。
後ろに控えているミューヌは声もない。

「おいおい、カンベンしてくれよ。どうしたってんだい?」
酒場のマスターは冷や汗をぬぐいつつ、聞いてみる。

「いや、スゥのバカ息子がウチのマユに色目使ってさ!」
「なにこのバカ?わたしの子をかどわかしてるの、ソッチじゃないの?」
「で・・、わたしはなんでココに居るんでしょう?」
「ミュー、わかってないなー。」
「そうよ、ミュー、ここは成功者としてウルスリに絡まないと!」
「えー」

「あのさ?」とは酒場のマスター。
「ウルスリだけど、今日は休暇なんだよな・・。」
「「えーーー!」」 「あ、よかったかも・・。」

「で。」
「何しに来たんですかい?」心底困った顔のマスター。

「アレだ。バデロン。とりあえずラムだ。」
「あいよ。」





(助けてください・・・。)エレゼンの女性からの切実な視線を受けながら、ラムを三杯注ぐバデロンだった。

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