87書き物。主人公が最近、出番がないので。

いつ頃建てられたのか?大きなホールに、見上げんばかりの高い天井。そしてカビ臭いというか、ホコリっぽい、というか。

ウルダハにある神殿の一つ。アルダネス大聖堂。
ザル神(死を司る双子の神)を信仰するこの大聖堂。(そして対となる、ナル神は生を司る。)

あわせて、ナル・ザル神とも呼ばれ、栄光と没落、繁栄と衰退、生と死。
この二極を顕著に表しているウルダハという街には、うってつけの信仰かもしれない。

そして。

「アナタには、これを読んでいただきます。」

古びたカウンターには、数人のザル教信者の方がいて、今もなにかと信者の対応などに追われている。
もっぱらローブ姿の信者が多いのは、この大聖堂のもう一つの顔。「呪術士ギルド」だからだろう。
古めかしい本や、聖典などが積まれ、さらに記帳用の筆記具、さらには呪具の販売までもしているらしい。
呪術士とはいえ、皆が敬虔な信徒ではないらしく、冒険者のスキルの一環、ということも最近じゃ当たり前になってきている。

「はぇ?」

目の前に山積みにされた、古書、聖典、その他。分厚さで言えば、ソレこそ一冊で盾の替わりになりそうだ。
それらを、えっちらおっちら、持ってきてカウンターに、デンっ!と積み上げたララフェルの女性。ヤヤケ女史。
モノクルが知性を感じさせるが、少し意地悪な表情も・・。
キノセイかもしれないが。

「聞こえませんでしたか?」とは、女史。いや、宗教の場においてその敬称は違うのかもしれないが、イマイチわからない。

「ですんで、コチラを完読していただきます。」

マヌケな返事に少しイラだったのかもしれない。

「・・・・・・。」声にならない。

おそらく、達人の剣士であっても、一刀に斬り裂くのはムリじゃないかという、圧倒的な本のボリューム。それよりも。

こんなの、ララフェルの女性が一人で(えっちら、おっちら。とだけど)運んでこられたほうがミラクル。

「えーと。期限はあるんですか?」と、あたし。

「ザル神の教えに忠実であれば、今すぐにでも読破できるでしょう。」と女史。

(できるかっつーの。)






少し時間をさかのぼり。


とある民家。海辺らしく潮風が心地良いうららかな午後。
「さーて、晩御飯はなにかしらー?」
と庭先で、ポニーテールの女性は独りごちて。
「父さん任せだし。」と、後ろから娘の声がかかり。
親子の会話も夕食に気が向いてしまっている。

周りの家も、特に何をするでもなく、夕食は何にしようか?とか、そんなの焼き魚しかないし、とか、もう3日も焼き魚だよ!
とか、たまには肉がいいなあ、とか、最近なんか不穏な話があるらしいってね、とか。
井戸端会議に華が咲いている。


ポニーテールの女性は、その言葉を聞くやら振り返り。
「あら、あなた。そういえば実家にはもう帰らない、的な置手紙して出て行かなかったっけ?」

「ヴッ!!」
ブルーグレイの髪を、肩の上で切りそろえた少女は、少しバツが悪そうに。

「たまに顔出せって、パールで言ってくるのは母さんじゃないのよー。」と、クチを尖らせる。

「だからって、毎度来るたびに何日もダラダラしてたら、なまっちゃうわよ?
LSのメンバーにも悪いんじゃないの?」とグレイのポニーテールの女性は、娘の目の前までやってくる。

洗濯物を干し終えて、家に戻る途中に詰め寄ってきて。

「ちょっと修行してきなさいよ。」

「わ、わかってるって!」年頃の女の子は少し反抗期だ。

正面からにらみ合う、ほどでもなく見合っている二人は、背丈も同じくらい。
髪の色は若干少女のほうが明るいか。髪型はともかく、顔立ちはよく似ている。親子、というより姉妹で十分通じそうだ。
しかも、その年齢差を感じさせない母親も、端から見れば勘違いされるかもしれない。

「ココ。」と言って母親が地図を片手に指指したのは、ウルダハの「アルダネス大聖堂」
「え?」「あーた、呪術士の資格試験、まだやってないでしょ!」
「あ。そうだったっけー?」必死の言い訳捏造中。
「隠してもムダ。知り合いがいるから。」
「なんという攻撃!」
「うるさい、ご飯の前に行ってくる!!」
「はぁい。」轟沈。



最初に戻る。


あまりの量に(実際、重さはどのくらいなんだろう?)めまいがする。

「ですが。」
静か、というか葬儀一般も一手に担う大聖堂。静謐なこの空間で多少声音を高くすればよく響く。

「こちらの依頼をお受けいただけましたら、その。資格を与えてもかまいませんのよ?」

(うわ、これまた面倒かも?)ブルーグレイの髪を短髪に切りそろえた少女は少し引きつった笑みを浮かべながら。
「本当ですか?」
「信じられないなら、けっこうですってよ?」と本の山を押し付けてくる。


「やらせていただきます・・・。」
「では、ご依頼しますよ。」



あー・・。これは今日中には絶対ムリじゃないのよー!母さんのばかー!
依頼内容を聞きながら、あたしは今日の晩御飯で出てくるはずだった、
何かしらに未練を残しつつ。。。。。。。。って、あれ?あたしの分も作ってあるハズ・・・。
「独り占めするために追い払ったなー!!!」

静謐な大聖堂に、少女の絶叫がこだまする。



「出て行ってください。」と、信者の方からたたき出されました、まる。


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ヤヤケ様に釣られて飛んできましたよ三(´∀`)ノ
呪術士クエの一部を垣間見た気がします…!
実際、彼女とやりとりしたら
私なんて思い切り見くだされそうな感じですw
---- (----) 2011年12月01日 10:57

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>シエルさん、いらっしゃいw
実は、このモトネタを考え付いたのは、まさにシエルさんのイラストからなんですw
こんな感じで、あっちこっちからネタを拾って来たりw
家に帰らない、な話はけっこう初期に(名前も決まってない)時に、家出するんですがwその時の話を盛り込んでいますw

ヤヤケさんとは、2回クエでやり取りがありますんで、がんばって上げてくださいw20と30かな?
Mayuri Rossana (Hyperion) 2011年12月01日 11:23

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で、ご飯はなんだったの?
Bob Dalus (Hyperion) 2011年12月01日 23:03

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>ぼびー。いらっさいw
なんだろうねえwたぶん、大好物のパイ関係はあったかとw
あとは、海鮮づくめwで、喜んで帰ってきたら、娘が居なかったというw
たぶん、とーちゃん泣いてるw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2011年12月01日 23:50

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