40とある一日。な書き物。?編

フンフン♪フーン♪

(たしか、最近新しいドレスがでたのよねー。話にしか聞かないけど、どんなのかしらー?)

周りを歩く冒険者達は、無骨な鎧か、色気のないローブばかりで、それっぽいのは見えない。
カウンターの中の足場がないと、それこそカウンターよりも下だから見上げることもできない。それゆえ、今の足場からしか観察ができない。

そもそも、なんで?と疑うかもしれないが。

やはり女性としては、気になるものだ。

カウンターに肘をつきつつ、誰か来ないかナー・・

「あ、モモディさん、行ってきます!」

ブルーグレイの短髪の少女が、いつもの挨拶をして元気に走っていく。

(あの子、いっつも元気ねー。最近、やけにカンがよくなって、からかうのが難しくなってきたかしらー。)

今日はイマイチ、忙しくないせいか周りを注意深く観察している。

と。

一人の女性に目が行く。

少し変わったジャケットを着ているが、見たことがないデザインだ。

「ちょっとソコのイケてるひとー!」
普通に考えたら、そんなので振り返るはずもないが、やはり最新ファッションゆえに自意識が少し高かったのだろうか?ヒューランの女性は足を止めて振り返った。

しばし・・。

「なるほどー、コーティーっていうのね?」
「そうですよ。女将さんが着るんですか?」
「そうねー、わたしも欲しいけれど・・。このくらいのサイズで一式、用意できるかしらー?色は・・お任せするわー。」
「いいですけれど・・。けっこう高いですよ?」
「うん、まあそれはなんとでもー。」
「じゃあ、知り合いが作ってくれたので、頼んでみますね。」

(よっし。)心なしか嬉しさよりも、イタズラのような笑みが浮かんでいる。

そこに。


朝方出かけていった少女が帰ってきた。もうすぐ夕暮れか。意外と早かったようだが、疲れ具合からしてテレポとかで帰ってきたわけじゃないみたい。

(疲れてるみたいねー、好都合かもー。)ニヤけが止まらない。

向かいのカウンターに駆けていく少女に
「よっ!マユ!おっかえりー!」と声をかける。


「あ、ただいま。ちょっと待ってくださいね。」と聞こえてくる。

まちますとも。
うふふ、似合うといいなー。

そうそう、テージに店番を頼まないと。

「あの、女将さん?なんだかすごい笑顔ですけど、いいことあったんですか?」
「まあねー、もう少ししたら出かけるから。あとはよろしくー。」
「はい、かまいませんけれども。」

「あ、それと、合図したら、また服の洗濯をお願いねー。カゴに入れて廊下に出しておくからー。」
「はい。ってまたアレやるんですか?」
「うふ♪」
(気の毒に・・・)テージは沈痛な表情でこめかみを押さえていた。・・・・

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