38とある一日。な書き物。

砂漠というと、砂ばかりだと思われガチだが、実はそれは「砂丘」のことだ。
そして、砂漠とは岩や、乾燥した地に強い木々も、植物もそれなりにある。

そんな砂漠地帯にある、一大都市。ウルダハ。

栄光と、没落と、富と、貧困と、生と、死と。常に二面性を持つ都市。

ナル・ザル神(生死を司る)が神殿を構えるにふさわしい、というよりも構えるがゆえの構造なのかもしれない。

そんな街ではあるが。

「よっ!マユ!おっかえりー!」

とある、というよりは街で一番大きな酒場「クイックサンド」の女将。モモディは、一人の冒険者に声をかけた。

「あ、ただいま。ちょっと待ってくださいね。」

声をかけられた冒険者は、年のころ10代半ばだろうか?
少し小柄な少女は、青白い光に照らされたカウンターの方に駆けていく。

(あの子も立派になってきたわねー・・、一部を除いて。)

円形のホールの酒場、クイックサンドは冒険者ギルドとも言われる、が。

その施設としては、大きく3つに分かれている。

まずは、憩いの場としての「酒場」本来のもの。
そして、今は休業しているが、宿屋の玄関。(冒険者が多すぎて、宿の対応がパンクしてしまっているからだ)
最後に。むしろ、もっとも冒険者ギルドとしての本分なのかもしれない、ギルドリーヴといわれる、揉め事や、製作、採集などの仕事の斡旋所。

実力に応じて、ギルドリーヴを選べるため、冒険者は常に立ち寄り、かつ内容の検討や、無事に終わらせた祝杯などで、酒場も繁盛しているというわけだ。

当然、出入りが多いと名前も覚えられたり、気に入られるとなんらかのサービス(例えば、頼んでいないのに料理が一品追加されたり)とか、あったりなかったり。



「マユ!マユ!!!はやくー」
小柄な少女のような女将は、件の少女を急かす。

「はいはーい!」と元気よく返事が返ってきて。



ニヤリ。




ブルーグレイの短めの髪、肩のあたりで切りそろえた髪だが、おでこが見えるように左右に分けている。
小柄だけど華奢、というよりは運動で締まった身体、大きめの瞳はまだ少女らしさも残している。その少女がカウンターに小走りにやってくる。

「どーしたんですか?モモディさん?」

ニヤリ、とした表情をサっと消すと。
「いやね、最近さ。マユ頑張ってるとおもうのよー。」

「ありがとうございます。・・・・なんか企んでませんか?」
いぶかしげに眉間にシワを寄せる少女。

「まっさかー!応援してるんだから。」と、ニコニコするララフェルの女将。

「・・・・怪しい・・・。」と、こっちはいぶかしげな少女。

ふう、やれやれと、息をつきながら、カウンターからちょっとした紙袋を出してくる。
「せっかく、あなたのために上等の服を見繕ってあげたのに。・・・・、信頼してくれないなんて・・・。」

「?」少女の顔は?マークで満載だ。

「え、そんな。受け取れませんよ!?」

確かに、服一式が入りそうな紙袋。しかし、何かの報酬でもあるまいに。

「いやいや、マユに似合いそうだから、ついつい用意しちゃったのよー、じゃあ、着るだけ着てみて。」

ニコニコしながら、彼女は紙袋から赤い上着(ジャケット)を取り出す。

「わ!ナンですかそれ?」

少女は、初めて見た服に驚いている。なにしろ、最新のデザインなのだ。ついさっきまで冒険に出かけていた少女が知る由もない。

「最新の「コーティー」っていう上着なんだー。これは赤色に染めてあるけど。きっと似合うとおもうわよー。」

と言いながら、対になるスカートやソックスまで出してくる。

「え?」

女将は自慢げに見せ付けてくる。

「かわいいですねw」
少女は無邪気に応えてくる。
「でも、いいんですか?結構な値段なんだとおもうんだけど・・?」

「もちろん!」
満面の(邪悪な)笑みを浮かべて応える。

それに気づかない少女は、見たこともない服に興味深々のようだった。







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ちょっと趣向を変えて、三人称視点でかいてみました。オチはなんとなくバレてるだろうけど、後半はまた趣向を変えて書いてみますw

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