22書き物、そしてリムサ・ロミンサへ~

ついに、来てしまった。

運命の日。





「マユー、あーたそろそろ違う街に行ってみたらー?」

く。
わかってはいたことだけど・・・・。

ララフェル女将のモモディ(様)は軽い調子で言ってくれる。
かわいい子には旅させろ、とはドコで聞いたのか?あ、きっと、あたしがウェイトレスしてた時に、「なんで冒険者してるんですか?」と聞いた時だ。・・・・(あたしも、そういうコトだったのかなあ?)急に里心がついてしまう。

いやいや、ちょっとまて。

「え~、まだまだですって。」
気のない返事をしながら、猛烈に考えを巡らせる。

島国リムサ・ロミンサとの陸路~海路の拠点となってる町、フェリードック。
実家の近所にある、交通の要だ。テレポなんぞを使えるようになるまで、ココから行き来するしかリムサとウルダハは繋がらない。飛空挺とやらも飛んでるようだけど、一般人はもとより、冒険者すら乗れないシロモノだ。もちろん、ただの物資なんて積めるワケもなく。大体、各国の要人を乗せて、もしくは大金持ちの遊興か。まず、確実なのはあたしじゃムリ。

次に。

実家の近所だけあって、知り合いも多い。ましてやウェイトレス(父親が露店で冒険者や船乗りの相手をしていた食堂)してた店が。
そして我が家の誇る、バカ兄貴はそれこそ、その船乗りだったり。

母さんは、実家の面倒見てるし・・・おそらくは居ないだろうケド。
それに、家を出ることを書いたメモは母さんがその日の最後に見るであろうパジャマに忍び込ませておいたから。・・・

あと、同年代の連れ。たまに手伝いに来てくれた同い年の子なんて、あたしがグチをこらえてたら「出てけばいーのに」とか(水浴び場で覗かれないように見張りしてあげてた恩は感じないのか?)その時、ボコにした野郎ども(ガキのころは、スカートめくりが流行って、先の子なんて真っ先に標的にされてたのも、助けてあげたのも思い出してきた・・・)
あたしはズボンしかはかなかったから、相手にされてもなかったが。まあ、会いたいとも思わないわナー・・・

それから数ヶ月もウルダハで冒険者やって、そこそこになってるとはいえ、今更どーいう顔して。。。

「・・・・って聞いてるの!?マユ!!」

「え?あ。はあ・。...・・・?」

「はぁーーー、だーかーらー。リムサに行くんでしょ?」
いえ、行きたくない理由をあまりにも多く見つけすぎて、心が萎えそうになってるトコロですが、なにか?

「よかった、行くのね!コレを頼もうと思ってたんだけど、あっち方面に行ってくれそうな人がいなくってねー!助かるわ!さすがマユ!ひゅーひゅー!!」
手を振り上げて、小躍りしてる・・・

は?

なにこの、ララフェルさんは?いま、何語ハナシマシタカ?

「えとねえ、まずは、フェリードックで出店してる露店の食堂なんだけど。・・・ちょっと聞いてるの?ねえ?・・ってぎゃああああ!」

ぶびひゅっ!!

カウンターに座って、ひと時の休息を楽しむためのフルーツドリンクは、女将に不意打ちの飛び道具と化した。

女将「・・・・・・。」
あたし「・・・・・・・・・・。」

「マユ。洗濯代はもらうからねー?」
「安いものです。」

「ふーん。じゃあ、過去にさかのぼって、アレとかコレとかえーっと、そういえば、あの時も・・・」

「ご依頼、なんでしたっけ?」
少し目線が泳いでるのがわかってるけど、いかんともしがたい・・・


素直な子はたすかるわー・・・・とか、氷ができそうなくらい低音で告げてくる。

「これ。中身は見ちゃダメよ?わかってるだろうけど。」と小荷物を渡される。
それと、ちょっとした袋に入ったのを渡される。こっちはリムサの方の酒場宛らしい。

「で、露店の大将に言伝。「おかげで商売繁盛よ、安心して。」と言っといて。ソレはそのお礼みたいなものよ。」



ぐあ・・・あの親父にか・・・・。



続く。(今回はオリジナルストーリー、日常編w)

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