1014外伝2 バルケッタ。事の顛末。

夕暮に染まる、教会。
そこには、祝福であったり、弔辞であったり、日々の礼拝であったり。

リムサ・ロミンサには、大小いくつかの教会があるが、おしなべて「海神リムレーン」という女神が一般的で、かつ「地母神ノフィカ」は、彼の女神の妹神である。とも。

まあ、誰がどうでもいいけどさ。
世界に混沌を撒き散らすと、悪評名高い魔女からすれば、どうでもいいことだ。

ついの大戦では英雄扱いにもされたのだけれど、迷惑極まりない。

「天魔の魔女」は、ひなびた教会にいくばくかの礼を出し、来るべき二人に「幸あれ」って、言ってあげてほしい。と。


「ミッター・・・。」黒髪の娘は・・いつもの胸元をはだけた衣装じゃなく。
なんだか、着ぐるしいのか、胸元を気にしている。
ただ、それ以外には。
「黒」を基調とした着流しではなく、白い着物。双子の妹である「白雪」のもの。
「似合ってるよ。黒。」
茶色の髪の青年はと言えば・・・

お世辞にも似合ってるとは言えない・・。
東方風の衣装(借り物だが、そもそも、東方の衣装を持ち込んでいた彼女達とは違い、あーだこーだ、と適当にオーダーしてあったのだから。)
それをして、笑える辺りが、この女性だろう。

「あー・・・ミッター。」
「ああ。」
教会の中に入っている、二人と。質素な牧師がいる。
「馬子にも衣装、って諺がある。・・・んだよ!」この後は、失笑を通り越して、爆笑に・・
「あー。ゴメン。東方の言い習わしはわかんないよ・・・」青年は困り果て・・

正直、着せ付けられた衣装は・・お世辞にも似合ってるとは思えないが・・?
彼女の態度じゃ・・ダメなのか?

「よく似あってる。よ。」黒雪は、涙目ながらも。

婚儀の礼を進めて行く牧師。

「「共に。」」二人は誓いを立てる。


「あー。そろそろ、夫婦ができたか。さてと。お次は?」視線、よりも想像だけで・・



寒風の中。
「なんか・・動きがありそうや。」黒髪のモンク。
「え・・?そうなんです?」同じく黒髪の長剣を持つ女性。



執務室にて。
「社長・・・・。」怨嗟めいた思念、いや、怨念か。
レイ・ローウェルは、カリキュラム(学生の授業、それもハードな)を、缶詰した後に、自爆させるべくして自爆に見舞われることもなく。
綺麗に終わらせてみせた。

その怨嗟に・・。
「あ。レイ。よくやってくれた!現場監督のさ、貴族サンも喜んでくれたよ!」
声に出してまで、パールに思念を送る。
もちろん、無言のやりとりが一番の恩恵なハズなのだけど。
逆に言えば、そのくらい逼迫してた事案であったと。
そのくらいはすぐに理解し、「大丈夫ですよ!」と、同じく声に出しながら、レイは机に突っ伏す。
お互い、声の出し合いなんて、分かるはずもないけれど・・そこは「必死」度でわかるくらいには、慣れている。つまり。
「家名を貰えるくらいに信用されてる、ってこと。かぁ・・・」レイは、机から頭をあげようとして。やっぱり、机に頭を落とす。
「こういうのも、いいかも・・」


「せねっち?」
夕暮の社長室。
「はい?」
「あの子達は?」
ミコッテの社長と筆頭秘書。
「そうですね。満足したんじゃないですか?」
「そう。」
「・・・・」
「なによ?」
「何に満足されたのか、気にされているのでは?」
・・・・
少しの空白。

「あー。はいはい。そうだよ。あの二人には今更ながらの因縁もあるし、貸し借り・・でいえば、私の方が貸しが多い。」
「ええ。そうですが、恩着せがましいのも問題です。その貸しを増やすのではなく、祝福で帳消しにされれば、一層の株があがるというものです。」
しれっと、秘書は。

「あー。あー、あー。そうだね。うん。でもね?」
「そこでの反論は、マイナスですね。もっと教育が必要でしょう。参考書をウルダハから仕入れておきました。
かの国は、こと効率において、一切の情を省いたものから、いかにして相手を乗せる手練手管に詳しいものまで。」
「いや・・効率はここでも実践してるじゃない?」
「その対策を練るには、こちらも相手の手段の初期位は知っておくべきです。」
「初期・・って?」
「ああ・・イラっとしました。」こめかみを揉みほぐしながら・・「いいですか?」
「文書として、出回っている以上、コレは「常識」なのです。その先を「隠しておくため」の、時間的な欺瞞です。お分かりですか?」
「難しいね・・」
「いいでしょう。 かの、北方ではこの「欺瞞」に満ちた話にまみれていたでしょう・・?」
「・・・・。そうだな。」

そして、今日会ったあの女性。
やはり、見どころはあるだろう。
オドオドとしたところは、むしろ可愛げにあふれているし、なにより。
(カウルが似合う・・・)

「・・長?社長?」
「あ?どうかした?」
「いえ。彼女はどうでしたか?」
「ああ。即採用で、どこの部署がいいか考え中だった。」
「・・・カウルが似合うから、手元に置きたいとか考えてましたね?」
「へ?」
「いえ。なんでも。」
「えぇ?」(バレてる・・?)




「んじゃ・・あたしもそろそろ・・。」
「おや、出番かい?魔女さん。」
「どーだかね?正直。さ。」
「おう?」
「あたしの出番なんて、無い方がいいのさ。」
「これはまた?」
「その方が、世の中。」

一息。

「平和なんだよ。」

「じゃあ、魔女の休息に一杯。」
「ああ。バデロン。お前にも休息があればな!」
「カンベンだ、俺は干上がっちまう!」
「やかましい!ウルスリの分も飲め!」
「まーったく・・変わらねえな、アンタ。」
「1,2,3,ハイ!で、変えれたら楽だわ!」
「そりゃ言えてる!」

「くだらない自由に。」 魔女はラムを掲げ。
「楽しい未来を。」髭の店主。

「乾杯。」



「世は並べて、事もなし。」 か。
漆黒の髪、肌。
楽しませてくれる要素は、少しばかり・・・遠のいた。
が。
そうとばかりも言えないのも現状だ。
「布石」はしっかりと、着実に動いている。
まずは。
「銃」
自身が出張ってまでアピールしただけの事はあろう、リターンがすでに来ている。
それ以外の事件を引き起こしただけの価値は、十分にリスクを上回った収益を上げるに至っている。
まあ、惜しむらくは。
かの機工士を手中に収める事が出来なかった事。
彼の弟子、出来損ないだと思っていた女が、技術面ではかなりのレベルだった事を見逃した事。

「ふむ。」
ため息ではなく、溢れた案件を声に出さず、吐息として吐き出しただけだ。

「イシュガルド、か。」
内政干渉はもちろん無理だが、付け入る隙はいくらでもあるだろう。

「この辺り、少し洗っておけ。」
部下に命じ、執務室を出て行く主。

「はい。クォ様。」

老執事は一礼を。





>蒼天のイシュガルドへ・・

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というわけで、やっとこさの第三部に向けてでっす。

ちょっと今回は本文が短めでしたけど。
ちょろっと、あとがきめいたものを。

やっと新章突入で、このお話も次回からは新章です。
そんでもって、ちと「描き方」のルール?(あたしなりの)を。
「小説を書く」とは言いますが、あたしは「描く」なんですよね。
絵を描く、ように描写できたらな。と思ってあえてそういう表現をしています。
それと、行間が多いように思われるかもしれませんが、読みやすさ(文字数を稼いでるわけではありませんw)と、その「場」の空気、みたいなものを演出しているつもりです。
例えば、今の「あとがき」だと、行間を開けていませんが、コレで5千文字も描いてたら、読み手もシンドイでしょうし、どういった「場の空気」かわかりませんと思いまして。
もう一つ、例えを出しますと、戦闘場面の切った張っただと、瞬間の合間には行間を入れて、ああ、一歩間合いとったんだな~とか、めっちゃ打ち合ってる!という。
そんな感じですね。
後は、3行以上の行間がある場合は、シーンを変えてる、と理解いただけましたら。



「ああ、また面倒な話してやがる。」「ちょっ!かあさんっ!」
魔女の親子はお茶をしながら・・・

「うっせー。」



ああ、失敬。
こんな感じですかね・・・;

閑話休題(それはおいといて)。
「蒼天のイシュガルド」編は、小説としては「トリニティ」
というタイトルでさせていただきます。
旧、新生、蒼天と、3作め、バージョン3.0、主役?二人にもう一人が絡んでいて3人。
3が3つそろってるので「トリニティ(三つ巴)」ってことです。
まだまだ、お話も進んでいない方も、そうでない方もおられるでしょうし、小話もまじえつつ。
ネタバレしそうな場合は、予め予告挟んでおきますんで・・・多分、大丈夫かと。

それでは、長めのあとがきでしたが、次回作もお楽しみを。


あ。
まとめサイトの方で過去作もお楽しみを♪

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