1012外伝2 バルケッタ。揺られるのは?ゆらり・・

目が開くと・・。

砂埃が舞う中に、蒼い光の塔が立っている。
「ふン。」

厄介事は続いているが・・。
依頼はこなさなければ、はした金すら出ない。

此処は東ザナラーン、「キャンプ・ドライボーン」だ。
ネーミングセンスとしては上出来だが、肝心の「ホネ」はドコなんだろうね?とは思う。

僕としては、できれば「ブリッジ」、ハイだか、ローだかわかんないが、ソコまでめでたいカップルの回収、んで、宿の手配。
コレをしないと後々面倒だし。
近場のチョコボ屋に言って、一頭借り受けて。
多めの報酬を払い、ひたすらに東に駆ける。

「なんだか、もう・・好き勝手にすれば~・・」と独りごちたところで、チョコボが返事をくれるわけでもない。

うろ覚えの地形を走って行く。

黒髪に黒装束、と言えば、目立たなさそうだが・・。
いやいや。荒野を黄色いトリに乗っていれば目立つことこの上ない。
こういう装束は・・やはり森林や、夜中の航海なればこそだ。
そういう点では、あの魔女はコロセウムで暗い赤色のレザーのジャケットを着ていた。
「案外、こういうのが目立ちにくいんだ。」とか、なんとか。
まあ、そうかもしれないが・・・
「今更だろ。」

葬儀屋を名乗る女性は、兎にも角にも先行させたカップルを上回る速度で「ブリッジ」に行かねばならない。
「手間かけさせやがって。」
リムサ・ロミンサ訛りの独り言だが、どうせ聞いている?のはチョコボだけだ。遠慮もいらないだろう・・が。

ただ、たまに蛮族の襲撃もあるらしいので・・ロクな武装も無いままに激戦区に突っ込まれても困る。
まったく、僕の立場って・・・   (護衛です。

「あー!そーだよねっ!」チョコボに蹴りを入れて、加速させる。

そして、案の定。
ブリッジだか、ハイブリッジ?ローって事はないような? そんな橋で。

夕闇の残光も消えかけて、ほんの一瞬で陽が地面とさようなら、な。そんな場面。

冒険者と衛視、そして旅人と蛮族のミックスジュース。

冗談ではなく、4種類の。
でも色は同じ色のミックスジュース。

「手間増やしやがッテ!」
すかさず、ターゲット。
居た。
「コッチ!」とりあえず、二人を優先的にこちらと合流させなければ。
ヘタに交じり合うと、巻き込む。

「!」「ミッター!」
二人は、なんとか僕を認識してくれたよう。
「いい子ダ。」
強弓を天に向け。
3本、4本、と矢を適当にばら撒きながら、二人を見送り、一本だけそっちに撃つ。
「そこデ、待ってナ?」
目印代わりの矢を放った後は、目につくザコ共をひたすらに撃ち倒すだけのゲーム。
多少は・・イライラの解消にはなったけど。

「アー。なンだ。こっちの不手際?かナ?悪いけど、ここの施設デ寝てくれル?」

「・・・?・・え?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

橋を越えた先の監視哨。
まあ、お世辞にも寝れたモンじゃないわなー・・・。
グリダニアのベッドに慣れてりゃ。

ま、僕は・・。船だと一等船室(海賊船)レベルかね?
同じような寝室、とは名ばかりの固い床だけど。
船の場合は、波が揺れて多少はマシなんだけど・・。慣れてない奴が・・まあ言うまい。
バケツの掃除は個人の責任だし。

中には「撒き餌が利いてるぜ!」と、漁獲量を自慢する奴もいるし。その辺は、ムダにした食材の再利用、か。
「いいんじゃね?」としか言い様がない・・


固い石床に毛布を敷いただけの寝台で・・疲れた体を・・


(カルヴァラン・・)

ん・・。
もう、朝?少し寝ぼけた頭を、一瞬で元に戻す方法。
それは。

キン!

金属と金属のぶつかる音。コレほどの目覚ましは海賊船では早々ない。
「ンだ?また?」
毛布から抜けだして、目をこする。
どうやら、顔を洗うヒマも無いのかもしれない。

アマルジャと名乗る蛮族との対立。
どうでもいいし。寝かせろ。

寝ぼけながら、窓越しに弓を射る。

たぶん・・10は打ち倒したはず。めんどくさいから、もう一回寝る。

ふぁぁ・・



昼前になって、やっと目が・・「おい!起きてるか黒尽くめ!」と、あの黒髪の声。
「やめときなよ・・」と青年の声。

「ン?僕に何言ってンだ?」ドアを開た。
下着姿で。

「わあ!」「・・・・・。」

「ああ。ごめン。朝、サ。うるさかったシ。防衛戦?の手伝いしたンだ。」
てか、ああ、そっか。こいつら武装してなかったか。

「そ、そうかい。それは・・まあいいけど・・。その。」
「素っ裸じゃ無いんだし、今更うろたえてんじゃねえよ、ミッター。」
「いや。それは問題あるな・・。」
「で、防衛戦?」
「あァ。この橋は蛮族との「国境」みたいナところが「あちらサン」にあるらしいヨ。」
「で?」
「いヤ。朝っぱらかラ、煩いんデさ。適当に撃ち殺しといタ。」
「「・・・・・」」

(やっぱり、相手に回すとコワイ人だね・・)
(てか、コイツ。今のうちに始末した方が良くない?)
(いや、それは・・ムリでっしょ?)
(やっぱ、そう思う?)
(うん・・。)

「僕の暗殺ノ相談は済んダ?」真顔で黒髪の・・金色の左目が見つめてくる。
「ああ?いや、そんな・・」青年は・・・・・・
「じゃァ。服着るからサ。そっちの小僧さンにはご退場してもらっていいかイ?」
「わあああああ!!!!」そうだ。この人形のような女性は・・下着姿で・・・・
走ってどこかに去っていった。

「ふン?で?」僕はあえて意地悪く。
「何が?」黒髪の・・見た目は町娘だが、放つ気配・・殺気は半端じゃない。
「今、此処で僕に、ああ、信用ネ。しない理由がわからなイ。」
「・・魔女と結託して、キャンプから叩きだした、違う?」
「!おお。イイ勘してルよ。正解じゃないけドね。」
二人の黒髪の女性。

片方は、人形のような、白磁の肌を冷めた視線。そして、片方だけ隠された眼。
もう一人は、町娘の衣装ながら、放つ空気が周りを遠ざけるような、「斬られる」ような、そんな雰囲気。

「じゃァ。答え合わせだけド。」僕から。
「死人をサ。国境越えって結構大変なンだよ?その辺は分かって欲しいネ。」

サムライを名乗る女性。
「ここまでする必要が?」

答えて。
「僕は手っ取り早いノがイイ。でも・・面白がってるノがネ。」
「ああ・・魔女、か。(正直、世話になりっぱなしだし。コレが彼女の趣向というなら諦めもつく。)」
「分かってくれタ?」ニッコリと笑みを浮かべる葬儀屋は、本当に人形みたいだ。
「いいだろう。」
「商談成立?」
「いちいち、うるさいやつだな、そうだよ!」
「なら、話は。早い方ガいいよネ。」


僕は、

ありったけの矢をばら撒いて、蛮族の援軍を牽制してから。
「走レっ!」


その先には・・
タンデム(二人乗り用の大きな)チョコボ。
「さっさと乗レ!」
僕はレンタルをそのまま無断で借受け、駆ける。

「後は、港まデ行けばイイ!」
「え?」「なんだって?」
「いいかラ、行け!(カルヴァランの)船が用意してある。僕モ後で「ちゃンとお礼を」ダ。」


「なあ。ミッター?」「うん?」
「コレ、レンタルするの高くない?」「ああ・・たぶん。」
「だよねえ・・。(貯金が減っていく・・)」


頃合いのついた?ところでチョコボから降りて・・
(ああ、カルヴァラン?)
(わかってる。もう確認はした。しかし・・リッラ。)
(なに?)
(俺のあれだ、観光相手の海賊稼業にはえらく辛口だったんじゃないか?)
(僕だって、好き好んでこんな仕事を引き受けたんじゃないってば!)
(・・・まあ、お互い様、か。コレが済んだらどっかウマイ飯でも行こう。)
(・・う・・うん。でも!んー・・うん。美味しいところ、見つけたの?)
(難しいことを聞く。こいつらに「東方風」というのを聞いてみるのもいいだろう?)
(いいね!)

うん。このくらいの報酬はあってしかるべきだ。

移動術式でグリダニアに帰っていく・・・

葬儀屋だって、たまには贅沢を許されるだろう・・。
「たまには、肉もいい・・」


(が、東方料理は、基本が野菜と魚だったり・・)

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