EX8外伝。夢は夢のままで・・・

ん・・・。
頬がつつかれる・・・
ん?
いつのまにか、寝てしまっていたのか・・・。
うっすらと目を開ける。
枕に長い黒髪を残し少し頭を持ち上げる。
もう一度・・・。
ばふ、という音と共に枕に顔を埋め、惰眠を貪る。が、
もう一度頬をつつかれ、「もう!」と腕を振るうが、うつぶせなため大した範囲でもなく。
それでも、相手の顔には当たったのか、「おっと。」と少しおどけた返事が。
「なによ・・。」
「起きてよ。姐ちゃん。」
寝台に腰掛ける少年・・いや、青年か。
「・・・・・いや。」
「キーファーさんが来てる。仕事だってさ。」
「後・・・。」
「そんなこと言わないで。」
「じゃあ、キスで起こして。」ふて寝を開始。
しょうがないなあ・・・と、躰を抱き上げると、うなじに口づけを。
白い裸体をさらした彼女は、「ん。」と、さらにおねだりをしようとするが、ぼとり、と落とされた。
「こら!」
「目、覚めた?」
「後でぶった切る。」
「その調子。早く服着てよ。」
「みったーく。いつからそんなに偉そうに?」
ぽりぽり、と、後ろ頭を掻きながら黒髪の美女はぺたんと寝台にすわったまま。
うろんな視線を感じながら、ドアに向かう彼はすでに支度ができているらしく・・
「キーファーさん。あの、もう少しだけ待ってください。」
衣擦れの音で、何かを羽織ったのが分かり、ドアノブを開けようとして、一瞬、後ろを。
彼の見たものは・・・。
本当に羽織っただけの美女の裸体。
前は何一つ隠しちゃいない。
「・・・せめて、帯くらい・・。」とノブから手を離し・・。
「めんど・・。」
「ああ!もういいから、後ろ向いてて!」

キーファーと名乗る銀髪の青年が部屋に入ってきたのはその少し後・・・
「急いでるんですよ?」と、へらへらとした笑顔で。

「すんません。」とミッターク。
「はん?」とは、不機嫌な黒雪。

「で、案件なんですが。」と切り出す青年に、いつもの暗殺かと、特に気にした風でもなく相槌を打ちながら・・・
二人の表情が次の言葉で凍りつく。
「はい。ですから、白雪嬢の夫の殺害依頼です。」

2年前にグリダニアの商家に嫁いだ双子の妹はとても幸せそうだった。
「ハクの!だとお!」黒雪が激昂する。
「ハク姉ちゃんの・・。」ミッタークも動揺を隠せない。
「おい?キーファー。何が元だ?」愛刀があれば、即叩き切る勢いの彼女に。
へらへらと「役目が済んだから、かな。」と青年が返す。
「役目?」
「ええ。彼は物資調達係・・・「家」のね。もちろん、裏の仕事でこのことは白雪嬢も知りえない事、だったんですが。
知ってしまったんですよ。彼女。で、穏便に済ませるために、彼にご退場願い、白雪嬢に後継をしてもらおうと。」
「!!!」
「・・。」
二人はただ、押し黙る・・
「いいですか?この件は、葬儀屋がカタをつけるはずだったんですが・・。彼女も最近ナーバスでしてね。身内殺しは疲れる、とかワガママなんで。」
「そんで、私にお鉢を?」
「いえ。別にミッターク君でもいいですよ。ただ、彼女に懐いていたでしょう?」
「私の妹、そして、義理の弟。だろ・・。」
「はい。どうします?」
「イヤ、って言えば?」隣の彼を見る。
「・・・僕が・・・します。」
「ミッター!」
「では、場所と時間です。今夜・・・・・・・・」




「ミッター?どういうつもり?」詰め寄るパートナ-。
「姐ちゃん・・じゃ、どうしようもないだろ?俺がやるよ。」
「私も行く・・・そして・・。」
「そして?どうする?」
「なんとか・・なんとかしてみせる。」
「そっか・・。」傍らの彼女を抱きしめる。「好きだよ。」「うん・・・。」



そして、薄暗がりの中、二人は進み・・。

二人の影を見つけた。

男女・・。おそらくは・・白雪とその夫・・。

「俺が行く。ハク姉ちゃんは・・抑えておいて。任せる。」
「ああ・・。」

駆け出す。
暗がりの森の中。ちょっとした空き地。指定場所で、月もまだ少しその輝きを出したあたり。

「ハク!」刀を抜き、襲い来るであろう妹の刃を迎え撃とうと構え・・
ちらりと、少し先の相棒を見る。
剣を振り抜き、惨殺せしめる・・・・はずだった。のだが。
白雪は「姉さん!」と、子狐丸を抜き放ち、ひと太刀。たった。だが、それを雨の村雲で受ける事は叶わなかった。

右肩から、左脇腹にかけての袈裟斬り。
だが、その前に。
血しぶきは背後からの一突き。
一本の鋼が自分の腹から突き出して。黒雪は、なんだか全てを理解した。
刀は、地面に音もなく落ち・・、袈裟斬りにされて、くず折れることも、貫かれた剣で許されない。
「そ・・・う。」

へらへらとした青年はこう言う。
「すみません。役目を終えたのは、貴女なんです。白雪嬢には、貴女の暗殺依頼が。そこのミッターク君からの依頼です。」

・・・・・・・・長い沈黙。

虚ろな瞳で、妹を、そして・・振り向き・・愛してしまった相手を見る。

「ごめん・・。親父の仇、取らせてもらった。」

「・・・(そう、よね。)」
意識が暗闇に落ちていく。痛みはもうない。全ての感覚が暗闇に・・。


「では、黒雪嬢の死亡を確認しました。お疲れ様です。」と銀髪の青年は去っていく。





目が開く。
「ごめん。姐ちゃん。」
視線がさまよい・・
「お姉ちゃん!」妹の声。
「目が覚めた?この小娘。」と・・誰だろう?
体は包帯だらけで、端々に痛みが残る・・が、痛いということは・・生きている?
「私と再戦をしてもらう前に死んでも困る。」・・・社長?だっけ?
意識が痛みと共に。
「やれやれ。僕の仕事をふやしてくれますね。」と、へらへらした青年。

「貴女の死亡偽装、大変だったんだにゃ。」と、なつっこい声。
え?

「やっと目が覚めた?」この声はああ。「天魔の魔女」か。
周りを見渡す。
愛しい青年、妹、魔女、社長、情報屋、銀髪。
「致命傷にならなかった、のは、さすがの指導ね。」と魔女に、
「・・・仇、は・・もう、しがらみ、だったのかな・・うまく言えない。」と青年。
「お姉ちゃん・・。」見た目だけは派手な斬撃。しかし、着物を裂いただけの寸止めに近い剣技を。
「じゃあ、薬代は支払ってもらおう。」と社長。
「わっちの活躍もおぼえておいてね。」とショコラ。
「じゃあ、全編の種あかしは僕、かなあ。」と。

「まず、貴女の暗殺依頼。これは、ミッターク君の依頼。そして、偽依頼のでっち上げの最中に、本当の依頼をこなす。はずだったんだけどね。
彼、心替わりしちゃってね。で、上層部に依頼説明すると、破天荒な貴女を消すにはちょうどいい、とか言われちゃってね。
ショコラに協力してもらって、社長・・マルス氏は白魔術も得意らしいし、魔女にも声かけてね。ショコラのコネはすごいから・・ええと。話がとんだ。
主旨としては、彼のモヤモヤをなんとかしたい。愛しい彼女が父の仇、というのがね。で、今回の劇をお膳立てしたんだよ。
もちろん、白雪嬢の夫の暗殺なんてのはでっち上げだし、彼女は元々、その事を知った上で嫁いだんだから。誰にも内緒でね。」

「手間のかかる娘だこと。」魔女はそう言って去っていく。「ああ、あたしの家があるわ。森の中。しばらくはそこで養生するといいわよ。ボロイけど。」
「それは・・補修しておきました。魔女の隠れ家ですからねえ。色々と面白いですよ。後で行きましょう。そうそう、この「家」は、ミッターク君用で。では、これにて。ショコラ、行こうか。」
「キーさん、偉そう。」「言わないでくれ。これでも今回はクビにならないか、ギリギリだったんだ。」「兄様の口添えがあるから平気だって。」「・・・。」
「あの黒猫・・か、今回は助かるな。」と、社長も席を。
「姉さん。ごめんね・・。じゃあ。お大事に。」
妹が出ていき・・

「ごめん。くろゆき。」抱きしめる。
「そっか。・・・ごめん。」


----------コメント----------

もうすぐ旧ロドストも閉鎖かー、早いねーw
新生ロドストは使いにくいw
Marth Lowell (Durandal) 2014年01月03日 15:20

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レスは直接する!
Rapu Taro (Hyperion) 2014年01月04日 01:19

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>マルスCEO,だよねえ。
もう一度考え直すというかw
ちゃんとしてw
ということでw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2014年01月04日 04:40

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>黒雪嬢。あえて
一応、リクエストに応えた、と思うのだけど

それでも、思いの丈は、あえてそっちで聞きましょう!
Mayuri Rossana (Hyperion) 2014年01月04日 04:42

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