EX6外伝。剣聖

「退屈。」
淡い桃色の髪は金色に見えなくも。
そして尻尾はふらふら。

「おいおい。可愛いのはいい。だが・・」
カフェの店主。
カーライン。素敵なカフェに似合わない店主と、可愛いエレゼンの少女。
ステンドグラスが映えるカフェで、ピンとした耳の彼女。

アイ。
ミコッテの少女は。くるり。と。

「アイ?その。」ミューヌが

「だって。」
蒼い剣を。くるくるっと。
そして、小さな剣を手品のように。
「もうしないよーだ。」
笑う。弾けるような。

蒼い剣と、白銀の剣はもう彼女の腰に。

誰が呼び習わしたのか・・。
「剣聖」
対かどうかは知らないが、「剣王」なるララフェルも居るのだとか。

「ミューヌ?」と少女は屈託のない笑みをエレゼンの少女に。
「どうしたの?」
「あのね。ワタシを口説きにきた面白い男がいてね。」
「え?」
ペイルブルーの瞳、抜けるような白い肌、淡く金色に輝く薄桃色の髪、ピンと尖るでもなく、ぺたりとした耳。童顔で、自分より幼いかも?な。ミコッテの少女。
確かに口説きたくなる男がいても・・。
ただ・・。
この「剣聖」を口説くには、少々苦難が、いや。相当の苦難が伴うだろう。
どこのどいつだ?なんて。ミューヌは話を楽しそうに。

細身の彼女は、どこに?とでも言いたくなるが、そんじょそこらの魔物や蛮族風情では相手にならないくらいの「腕」を持ち。
幼いながらも「剣聖」としての称号を祖父から。
その天性の腕前、両手利き。
短剣を使い、相手の剣を捌き、時に剣を折る。「ソードブレイカー」
そして、祖父から受け継いだ細身の剣「ジュワユース」
父を差し置いて受け継いだ剣「喜ばしき者」は彼女の才能を開花させ、昇華させた。
「剣聖」として、古い考えの持ち主でもあった祖父をして「この子だ・・。」と言わしめた。
少女は成長するにつれ、難敵を難なく排し圧倒してきた。
一人の強敵を除いて。
いや。二人、か。

緊張感。久しく感じたことのない気持ち。
「お主。剣聖とやらか?」
「そうね。ワタシに何の用?」
「かような女子を殺めるのは、少々心が痛むでな。」
「あら?ワタシ、女の子扱いされたの初めてかも。」尻尾が揺れ、耳がピンと跳ね起きる。
その言葉と同時に蒼い剣が映える。ウルダハの裏路地に。
月光に映えるその剣を視界に収めながらも、背後に周るララフェルの拳士。

キン。
金属の特有の硬質な音楽。

ミコッテの少女はジュワユースを振るいながら、ソードブレイカーを自在に使いこなす。

右手に鍵爪、左手にナックルを持つララフェルの暗殺者は楽しそうに踊る。

突いては引き、押しては返す、跳ね、降ろす。さらに斬り上げ、降り、弾く。
「おじさん、なんていうの?ワタシは、アイ。アイ・クオーレ。」
「ほう。サン・スパーダ、俺はな。」
鍵爪を振るいながら。
「ホラン、じゃよ。「地平線の彼方(ホライズン)」
「そう、じゃあさ。明日にでもこの街案内してよ。ワタシ、初めて来た街で襲われるの二回目なのよね。」
「ほう。」
「一人目は剣士?弟子入りしたいって。か弱い女の子にナニいってるんだか。毎日10キロ、魔物がわんさか居るトコロ走りまわれ、一ヶ月続いたら付き合ってもいいわ、って押し返した。」
「ヒドイ話じゃなのよなあ。」
剣戟の舞踏は続く。
「二人目は、アナタ。」
ジュワユースが斬撃を繰り出す。
二度の突きの軌跡を残し、さらに突くように見せかけ斬る。
その斬撃をいなし、爪を・・いや、引く。ソードブレイカーに弾かれる前に。
が、そのまま短剣はこめかみを狙う。射すように。
ナックルで受け流し、もう一度鍵爪を牽制に使いながら足払いを。
軽く跳躍でスカートを翻す少女は蒼い剣を振るう。
「楽しいわね。」
「そうだな。」
「ほん・・と・・」
少女は胸を押さえて・・・くずおれる。

「な・・」ララフェルの暗殺者は・・・。
近づき、少女の容態を確かめる。
「心の臟、か・・。」
これは暗殺者の仕事ではない。相手を仕留める。それがモラルであり、ポリシーだ。
「廃業、なのよな。」少女に賦活の術を施し、気付け薬を。
「・・・」
「喋るでないのよな。」
もう一度、暗闇に・・

「退屈。」
カフェにて。
こぼしながらも。
新しい?弟子?なのか。この剣を託す相手が居る。
いい事だ。
この。
胸を押さえる。
命が尽きるまでは。
退屈するべき時間は無いのかもしれない。
尻尾を振る。
「どうか・・・」退屈させないでよね。


----------コメント----------

うわー、妖怪ララフェルだ(´人`)
Marth Lowell (Durandal) 2013年12月30日 13:58

----------------------------

>マルスCEO.意外と?w
存在感と人気?のあるホラン師ですw
彼はこの後しばらく蓄電し、魔女を育てる事に。
アイは、故郷のグリダニアから旅行とは名ばかりの武者修行。

クオーレ(心臓)と名付けた父の心境はいかばかりか。
リムサ出身の彼は、少女が心穏やかにと森の国へと移住したのだけど。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年12月30日 14:35

----------------------------

ドキドキの展開@w@
次回がめっさ気になるw
Yupa Boleaz (Ragnarok) 2013年12月30日 15:41

----------------------------

>ユパ様。そですねえ・・
この後、ハウンド少年?をシゴいた後、彼は逃げ出し?ユパ様を紹介することにw
「あんなのやってられねえ。」で「おいら・・務まるかなあ・・」なw
次回作は・・・短編として、新生で描くかなw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年12月30日 18:51

<<前の話 目次 次の話>>

マユリさんの元ページ