679(680)外伝。お茶会。

緑の中、日差しのゆるやかな午後。
一人のエレゼンの女性は、故郷であるグリダニアに足を向けていた。
先ほど、友人のミコッテから「お茶会しない?」とパールからお誘いがあったのだ。
赤い髪を揺らしながら、このペースで歩けば十分間に合うと。
実際のところ、彼女は森の中で何をしていたのか?と、問われると。
大き目の板に画用紙を何枚も繋ぎとめた物と、水彩、油彩、クレヨン、木炭、など、画材を持って行って、絵を描いていたのだ。
年頃の女性が一人で、とも言われるかもしれないが、彼女は「教授」の一員でもある。
ちょっと程度の魔物なら無視できるし、強かろうが腰に佩いた剣があれば、大したことも無く撃退できる。むしろ、絵にするくらいだ。

「あ、エフィ?そろそろ着くと思うけど。二人?」パールでの伝心だが、彼女は実際に声もだしてしまう。念じるだけでいいのだが、つい。
周りからは独り言、と取られるだろうがあまり気にした風でもなく。
リムサ・ロミンサに本家を持つグローリャ家のナルヴィ・グローリャは鼻歌まじりにパールを弄り回す。
(ナルさん、一応、アリティアさんとこのレイちゃんと、ワタシ、それと、もしかするとゲストにスペシャルがあるかも?)こちらは伝心のみ。
「ふうん、ボクが混じっても大丈夫なゲストなのかな?」
足取りは軽い。
(そうねえ、有名人だし。来るかどうかはまだ未定みたいだから。)
友人はお気楽に応えてくる。
絵描きをしていて、やはり一番楽しいのは、新しい素材を見つけた時だ。
そのゲストとは、おそらく初顔合わせだろう。先程の口ぶりからすれば。
しかも、有名人とかって!
「滾ってきたァっ!」
(落ち着いて、ナルさん!)
エフェメラの伝心は通じていないのか、興奮しているのか、そのまま妄想モードなのか、返事が無い、というか、意味がわからない単語の羅列が・・・・
(始まっちゃったか・・・・)友人であるところのミコッテは、ふぅ、と一息吐くとパールをしまってしまった。こっちはもうカーラインカフェの目の前だ。

足取りも軽く、ナルヴィは街に入ると真っ直ぐカフェに向かう。鼻歌も超ゴキゲンだ。
赤毛が風になぶられるが、特に気にしない。
今日のお題は、「雲間に見える青空」だったからだ。風に流され、刻一刻と形を変えて行く雲達と、その合間、木々の隙間から切り取った青空は創作意欲をとてもそそらされた。
色彩を考え、クレヨンで描くか、水彩で描くか悩んだが、クレヨンで。
形が常に変わるため、思い描いた色彩にするためにはスピードも重要、との判断。
また、クレヨン独特のおぼろげな風合いもとてもマッチして、思ったような絵が描けた。
コレを話しの種にして、お茶会を盛り上げよう。
そして、ゲストが来ればモデルとして是非にお願いしてみよう。
さて、そのゲストって、誰だろう?有名・・・ね・・・?
などと考えてるうちに、二人と合流。
「ナルさん、暴走しすぎ。ワタシの伝心、途中で聞いて無かったでしょう?」
と、馴染みの友人。エフェメラ。このミコッテとは、実はとても縁がある。
本家に居た従姉、カタリナと過ごし、そして彼女の最期を教えてくれたのだ。
分家である家では、禁忌として従姉の名を出す事も許されなかった。ただ「あの子は死んだんだ。」とだけ。当時は信じられなかった。
優しく、元気な従姉だった。
それが、実は家出をして、傭兵なんていう職についていて、しかも死んだ、とは嘘で数年前までは生きていたのだ。そのコトを偶然出あったこのミコッテの少女から聞かされた。
彼女はウルダハで鍛冶をしながら、バザールをしていたがふとした拍子に仲良くなり。
自身の家名を知るや、沈痛な表情でこの事実を教えてくれた。
「どうしたの?」こちらも赤毛だが、ヒューランの女性。
仕事が忙しいはずだが、なんと7日にもわたる長期休暇を戴いたのだとか。
そして、最終の休みを明日に控え、気の合った友人達とお茶会に、と提案。
急遽、集合とあいなったわけである。

「で?」ナルヴィの疑問。
「で?とは?」レイが応える。
「あの、ゲストの事でしょ?」エフェメラ。
「当然!モデルになっていただくっ!」
「あー、そのことね。とりあえず中に入りましょ。」
「はぐらかしたっ!」
実はエフェメラもゲストは有名人、としか聞かされていない。
手配、というか?レイが声をかけたらしいのだが・・・。

「いらっしゃいませ。三名様でいらっしゃいますか?」
グリーンの給仕服を着たミコッテの少女が出迎えてくれる。最近入ったこの子はとても丁寧だ。(キレたらトンでもない事になるのを見た事がある3人は、刺激だけはしないように。)
「ん、後で一人増えるかもだけど。とりあえず3人で。」とレイが。
「それでしたら、こちらのテーブルへどうぞ。後ほどご注文を伺いに参りますので、メニューをどうぞ。」と案内されて。

「さーて、何にしようかしら?」
「やっぱり、香茶?」
「このベリー茶も捨てがたい。」
きゃいきゃいと、年齢の近い女子の会話がスタートする。

そして、お茶が運ばれ、話題も恋愛だのなんだのと過熱していくなか。
カラン、という音と共に、二人の少女達。
一人は赤い髪だか、オレンジだか、光の加減で色合いの変わるエレゼン。
もう一人は、やや短く刈った黒髪のヒューラン。
「あ、居た。」と。エレゼンの少女。
「おい、ミー。うちも居ていいんか?」
「こっちこっち!」とレイが呼ぶ。
「ごめーん、遅くなっちゃって。エリがしぶるもんでね。増えちゃったけどいい?」
「ほーう、有名人とはこのお二人?」ナルがしげしげと。
「そうなの、この前のコロセウムで「エキシビジョン」ってのがあって、そこで活躍、勝利したんだよ。」レイは確か行ってないはずだが、エフィから聞いていた。
「ちょ、はずかしい!」とミーランが言うと、エレディタは顔を赤らめ、そっぽをむいてしまった。
「あー、この二人だったか!ワタシは観てたんだけど、ミーランは二人も倒しちゃってね。しかもエレディタとの連携も完璧で。その後の夜会でも、二人のドレス姿はシビれタなあ。」
・・・・・・・・・もはや、声もない二人に。
「椅子をお一つお持ちいたしますので、少しおまちください。」と給仕。
「んじゃ、まあコロセウムでの武勇伝をお願いしましょう!」

場が盛り上がっていく。
二人は、結局根掘り葉掘り聞きだされ、さらにモデルの約束までさせられたのだった。


----------コメント----------

わぉ、いつのまにかでてた!!しゃちょーがいってたのはこれかー!

あの空の絵から得たインスピレーションですか。さすがー。


ひ・・・ひとつだけ・・・
コンテンツでは足りないクラスをいつもやってるけど
心のメインは槍なんだよ!がすがすとびまわるのがほんとは一番すきだよ!
というかんじでできたらありがとうありがとう!

新生がおちついたらなんか一枚かいてみようかねー。
ゆにゆりはけっこうすきです。
Narvi Grolya (Ridill) 2013年08月28日 17:14

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>ナルさん、はいwあの空の絵は素敵でしたのでw
しかも、マルスさんから聞いてたのねwこのエピソードw
得意武器ってなんだろなー?って、観てみたら、全部50でw
まあ、無難に剣にしちゃったけどw画材とか運ぶのにヤリって邪魔とか、言い訳してみるw
活躍の際には、槍で飛んでるのを是非w

そして、ゆにゆりのファンかwあの姉妹、クセあるけどカワイイとおもうw
というわけで、素材が増えましたよ?wゆにゆり、期待してますw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年08月29日 00:36

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(落ち着いて、ナルさん!)
(始まっちゃったか・・・・)
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年08月29日 02:40

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カタリナさん繋がりですか~、ナルヴィさんとはw
エフェメラってウルダハのバザーで人脈広げてるのねぇ。エリスといい、ナルヴィさんといい、フュといい。
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年08月29日 02:45

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>えふぃたん、実はw
グローリャって家名がかぶっていたから、が元なんだけど、同じエレゼンだし、関係無いワケない、ってことでつなげてみました。
そして、もともとの本名を知らないはずのエフェメラ(作中)が何故知っていたか?ヴォルフに詰め寄ったからです。当時、心が折れかかっていた彼は、全てを語り、こういう経緯に・
ああ、そうそう。フネラーレが新生で社長や、らぷ(黒雪)、レオさんらとフレになり、しかもLSにまでw
名前は本名のLilla Costaですので、よろしくねw
たまにロールプレイしますけど、所詮Lv一桁なのでw
しかも、Lillaって、ファーストネームの人がいて(すれ違ったw)びっくりw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年08月29日 03:31

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という事はーーユニユリを知ってる可能性があります? そちらのワタシは。
ヴォルフの登場シーン、過去作から漁ってみました。ヴォルフ、金髪だったんですね~。
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年08月29日 23:23

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>えふぃたん、そですw
彼は金髪(ブロンド)だったのですw
他のキャラの描写、例えばスゥ。
「栗色」だったりしますけど、基本「茶色」ですねw
姉は金髪、妹は金髪だけど茶色w

姉妹は「見たことあった?」ぐらいでw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年08月30日 01:21

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こちらのミスで保存し忘れた1話分を後から足しているため、今回の話で680話目です。
次回から681話として修正します。(管理人