644外伝。コロセウム 夜会二日目の3

「ししょ~、こっちに美味しいのありますよ~。」
ピンクの髪のララフェルが陽気な声を。
「うむ・・てぃんくよ・・。俺は今腹が重たいのだ。」
黒いエレゼンは、どうしようもなく。さらに顔色が・・・・
(もしかして、マジで石たべちゃったのかしら?)と、イタズラが成功しすぎて、笑うに笑えない。明日は決勝なのだが。

大丈夫か?師匠?


「あーあ・・負けちゃったな~・・」
銀髪をかすかに桃色に染めたミコッテの女性。
色々な料理に手をつけながら「暁一家」のレオは、妹達にも届けてやりたいな、とか思いながら。
「レオ、奮戦おめでとう。」と、皮肉にも取られかねない台詞に。
「ん?」と振り返ると、アリティア産業の面々。
これは本当に皮肉かな?とか。
「マルス、そちらは決勝進出おめでとう。」と謝辞。
同じ商人同士、仲もいいが、水面下ではライバルとしても認識している。若い頃は二人でかけもちで励んだものだが。
「ありがとう。セネリオは残念ながら落ちてしまったけどね。」
「次回は魔女達と当たるんだろ?勝算は?」これは実際問題として聞いてみたい。
「正直な所、あの魔女とはやりあいたくないね。セネリオですら手玉に取られたんだ。それよりも、かの「葬儀屋」に再戦を申し込まれてしまってね。」
「ああ。あのスタッバーね。でも再戦ってことは?」
「かつてちょっとした依頼の手伝いの際に彼女と手合わせしたことがあって、なんとか退けたんだけどね。」
「おいおい。あの「葬儀屋」を?何したの?」
「まあ、今も会場にいるあのカップルがらみなんだが・・。」
「どちらにしても、あの葬儀屋をこんな会場じゃなくて、普通に退けるなんて、魔女クラスだね。さすがだねマルス。」
「矢を2本ほど切り飛ばしただけだよ。」
「あいつ、スタッバーとしては超がつく一級だよ?」
「くわしいな、レオ。」
「仕事で使わないか?って、一度誘いがあったしね。なんか、銀髪の冴えないにーちゃんから。」
「ほう。」
「いや、ウチは間に合ってるから。て。まあ、噂には聞いてたからね。まさか、あんなベッピンの娘さんとは知らなかったけど。」
「まあ、顔は見てたからね。素はお嬢さんっぽいかな?」
「過去の彼女の仕事は調べたけれど、どれも冷徹、かなあ?関係者皆殺しとかやってたし。」
「まあ、スタッバーだけにこういうオープンな戦場には弱い、と踏んでるけどね。」
「なるほど。」
「あとは、あの術士「発火者(ファイアスターター)」ね。」
「見た見た。あの、発火点を幾重にもばら撒く構成とか、エグイね。」
「彼ともやりあうのはコワいなあ。」
「なによ、魔女もイヤ、発火者もイヤって、誰と戦うのよ?」
「葬儀屋、悪運かしらね・・・・」
「最初から逃げてて勝てるとはおもえん。」苦笑
「いうな。」
「黒猫もいるのだから、勝てない事もないでしょ?」
「そう、それだ。私はアイツが大嫌いでな。」
「知ってる。」
「連携などできようはずもない。」
「あらま。使えるものはなんでも使えば?」
「お前みたいにはできない、か。」
「損だね。」
「それはそうと、レオ、お前さ銃なんて使ってるだろ?アレも黒猫経由か?」
「ノーコメント。」
「そうか。(なるほど。その返答で黒猫経由が確定した、か。ありがとうな。)」視線で返事を返す。
(いえいえ)と視線が返ってくる。

腹芸の最中。

「あ!社長さん!」ふわふわした金髪の女性。傍らには・・
「どうも。」茶色の髪の青年。

振り返ってみれば・・・・・・
久しぶり、というべきか。
かつて、一つのリンクシェルがあり。
そのメンバーとして、金髪の少女が。そして、そのミッションの護衛対象としての青年。
もう何年前だったろうか。そのミッションに手伝いとして参加した。
3~4年は過ぎている。
第七霊災とか呼ばれた戦場で、そのリンクシェルはリーダーを含め、3名が落命した。
たった5人だけ(青年はそのミッションの後に加入した)のリンクシェルで、この二人だけが戦場には出なかったのだが。
ただ。
その時の思い入れもあり、戦場で果てた彼らの状況を聞いたとき。
涙が止まらなかった。
「彼らのために墓標を建てる」と決意し、遺品を回収しに行こうと。
そして、その遺体を見た時、くず折れて、どうしようもなかった。
夫婦のように寄り添うように寝かされた二人。それを見守るようにルガディンが。
傍らには、リーダーの槍が墓標のように突き立っており・・・。

思い出に浸ってしまった。

「ああ、久方ぶりだな。墓参りにはいってるのか?」
「ええ。」ファーネが応える。
「・・。」マルグリットは、無言で目に涙を・・・
「社長、感謝していますよ。風見鶏の墓標。」
「いや、気にするな。私の個人的な感情にすぎない。」
「そんな!」マリーが声を。
「そんな声をだすな。せっかくのドレスが台無しになる。」社長の優しい声。
「んじゃ、私はこれにて。」レオが去っていく。
「ああ。」手を振り見送りながら「そういえば、婚儀はあげたのか?」
「んー、曖昧なんですよね。」
「なんだそれは。男ならしっかりしろ。」
「いや、その。二人だけで済ませたので・・・。」
「披露はしてない、か。なんならアリティア産業で手配してやろうか?」
「いえっ、そんな!」恥ずかしがる女性。「その・・兄さんが・・その。ファーネの事をあんまりよく思っていなくって・・。」
「そうなんです。」苦笑「少しばかり、誤解があるのか・・。そういうわけでおおっぴらにしてないんです。」
「ふうん、あの「魔女の後継」の夫、か。」
「マユちゃんは、凄く喜んでくれたんだけど・・。」少し残念な表情なマリー。
「まあ、そのへんは私には関係ない、と言えば冷たいかも知れんが、そういうものだな。」
「いえ、お心遣い、感謝します。」ファーネが頭を下げ、ついでマリーもそれに倣う。
「では、幸多からんことを。」社長はそのまま去っていく。
(本当に。幸多かれ・・・)女社長は風見鶏の墓標を思い浮かべ、未来ある夫婦に願う。
「さて、明日だ。エリスは何処に行ったか?」
周りを見渡し。





「エリスさん、何がお好みなのですか?」黒いエレゼンは。
「い・・いえ・・。」
「では、エフェメラさんは?」
「あの・・・そのう・・・。」


亡霊氏に掴まっていた。


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昔ネタ振りで書いたお墓作りの事、さりげなくふれてますねw
Marth Lowell (Durandal) 2013年07月23日 15:06

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マユリさんの描く私とマルス社長の描写は結構リアルなので
見ていて面白いです。

独自のデータ収拾と、先読みで手を変え品を変え商売をする私に対して
マルスさんはしっかりとした基盤の元、特定の内容に関して一点集中で
商売をする。まさしく、企業といえるマルスさんのスタイルと個人で
活動する私は、同じ商人でありながら結構違うんデス。

マルスさんの嫌いなものは嫌いというのも合ってますしね~w
もちろん、仲が良いというのも本当ですよ。
Akatuki Reo (Durandal) 2013年07月23日 20:12

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>レオさん
嫌いなものは嫌い、まぁ合ってるかなw
あと、頑固w
Marth Lowell (Durandal) 2013年07月23日 20:20

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ワタシの名、どこで知ったの亡霊さん!? アワワ・・
忘れてくれていいんじゃよ??
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年07月23日 21:43

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あ、風見鶏のころけっこうしっかり読んでた。。。
途中でとんだきがしたけど。。。
なんかいいかんじの話だーとかおもってたのがぼ・・ぼh!?

過去作ちゃんとよみかえしマス。。。
Narvi Grolya (Ridill) 2013年07月23日 21:43

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い・・いえ・・。
Elice Lowell (Durandal) 2013年07月23日 21:53

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その少し前──
(あ、あれは戦いの時もエリスの後をつけ回してたエレゼンの人!)
「エリス、ちょっとここで待ってて。ワタシ、あっちから美味しそうなの見繕ってくるから!!」
とその場にエリスを残して逃げたエフェメラ。
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年07月23日 22:08

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リアル描写は僕もってことになるのかね
気づけばすっかり戦闘キャラから遠のいてしまっているw

「エリスさん?なんだか、顔色がすぐれない様子、
          良ければ少し外の空気を吸いに散歩でも?^^」

ってところかなw
Fizz Delight (Hyperion) 2013年07月23日 22:30

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(それを柱の影から見守ってるワタシ。押せおせ~っ)
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年07月23日 23:32

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(エフィ・・・(#^ω^)ビキビキ)
Elice Lowell (Durandal) 2013年07月23日 23:35

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>マルスCEO、伏線の回収は大事にしますw

LS風見鶏(ウェッターハーン)は、あたしにとっても思い出深い作品です。
そのメンバーに墓標を、なんて言われたら忘れるハズがありません!
どうやって出そうかと。
ただ、「お墓建てました。」じゃ、ね。
そういう意味では、このコロセウムは、「みんな」が出会える場でもありますのでw
交わる糸(意図)の場にしていきますw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年07月24日 00:32

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>レオさん、そーなんですねw

あたし的には。ですけど。
こういう発言(コメ)だと、こういう感じかしら?ってw
勝手にキャラ作って、盛って行くwww
でもそれが、リアルに近いなら、より楽しめそうでw
こちらとしても、いい感じですw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年07月24日 00:35

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660話いくかなグフフ
Sanshi Katsula (Hyperion) 2013年07月24日 00:54

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>えふぃたん、またネタふりがw

ちゃんと回収いたしますよw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年07月24日 04:56

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>ナルさん、よろぴくw

風見鶏もラストはアレなので・・・。
って、もう遅いかしら?
個人的には好きなお話ではあるけれど。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年07月24日 04:58

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>フィズさん、ノリがいいw

戦闘はちゃんと「カボチャ頭」剣王に勝ってますよw
決勝までw

ただ・・・
ね?w
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年07月24日 05:01

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>エリス嬢www ふぁいとw

えふぃたんは、もともと「危険回避」な人なのでwプロフィールにもあったはずw cpつっこんでたんじゃないかしらw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年07月24日 05:04

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>サンシ師匠、そうね~
660か、いくかな~?
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年07月24日 05:05

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ワタシのプロフィールから一部抜粋です。とあるテーブルトークRPGのルールを利用してます。
察しが悪い,優柔不断 好奇心,人見知り,「さん」付けで呼ぶ,危険に自らは飛び込まない,etc.
・・えっと。まぁリアルを反映させてるトコもあり、KY発言や逃げ腰は得意です。
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年07月25日 21:02

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>えふぃたん、十分承知ww
例のTTRPGだねw
一応、そういう感じのキャラ作りになってるとは思うけどw
エリスに対しては、「さん」付けがなくなってきたなw
あとは、大体活かせてる?かしらw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年07月25日 23:45

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