602外伝。コロセウム カード。その1

大きな城壁、と見まごうばかりの「枠」の中。

その「日」は来て。
対戦、という名の「テスト」や、「因縁」を。
試し、ぶつける場ができた。

ただ。趣向として言えば。

当然の事ながら、ただの対戦ではありえない。
V.I.P.として観覧している人達にはオッズが提示され、どの参加者が勝つのか。
その賭けも「娯楽」として。
そして、参加者にも賞金が提示されていて(一般観覧者はほとんどその事を知らないが。)
参加費、という名目だが、優勝すればかなりの額になる、という。
この事を大々的にすべきか、ある程度は・・・いや、参加するなればこそ。
賞金額は、参加者を虜にするだろう。

「果たして。そうかな?」金色の瞳は冷静に。

そして、対戦する順番、及び組み合わせが決まった、とアナウンスがあり。
伝声管を通じて、場内全てにいきわたる。

「まず!記念すべき、最初の組み合わせですぅ!」

観覧席にはどよめきと。
期待と不安。
そして。
熱気を帯びた応援の声。

「あの。これ?」
淡いブラウンの髪のミコッテの女性。
エリスとは親友、といってもいい間柄。
場内を見て・・・・

場内は、大きな石版が多数。
ちょっとした広場だ。一番奥を見れば、少し目を凝らさなければいけない。
それでも、やはり、というか。全体を見渡すには。
石版も、大きさはまちまちで、大きなものになると、それこそちょっとした城壁、というか、砦だ。
実際、崩れた(ように見える)石版は、数階分のフロアすら見える。

「エフィちゃんは・・。」グレイの髪のミコッテが問いかける。いつもとは違い、ドレスのような。
シックな感じの・・・・。でも・・・。
鍛冶を志して、その腕をしっかりと。努力と研鑽を積み重ねた女性は。
隣に座る女性が急所を覆う部分に、間違いなく「鎧」を仕込んでいる。それが解かる。
「こういうのって、馴れてないよね?」とにっこり。
「あ、はい。その。ええと。セネリオさん?」
「ん?」
「どういう意味?ですか・・?」
「別に。」
(あ・・。やっぱり・・。なんかニガテだあ・・。エリスとは全然ちがう・・~)
ふと、気になった。帯刀は許されているが・・・。
いつもの、「デュランダル」ではない。「セイブ・ザ・クイーン(女王の守護者)」
(にゅう・・。なに・・・?)

「それでは~!青組!!」
おお!
ウグイス嬢の声が響く。
「マルス・ローウェル!今回の試合の立て役者にして、暴君と名高い社長!その能力は未知数どころか!ご活躍を!」
白いローブ。そしてその袖は。
赤い染料を。
「白魔道士!」観客がどよめく。
三角に染め上げられた縁取りだが。
その手には。
つるはし。

「アリ?あれ?」
「まなん。たぶんフェイク。」
「どっちが?」
「さあ?」服がフェイクなのか、つるはしがフェイクなのか・・。

「そして!迎え撃つ赤組は、『おうさま』こと、石楠花氏!ララフェルとはいえ、剣術の皆伝者でもあります!」
「ワシも有名になったんじゃよ~。」
名剣をかざす。蒼い刀身。アスカロン。
「赤組なのに・・。」

「続きまして~。青組!エリス・パンテーラ。先の社長の双璧の一人。姉が無類の盾ならば、この方は、縦横無人の矛!」

にゃあ。めっちゃ底上げされてるにゃあ・・。顔だけは凛々しく・・・のつもり。

「そして、対して。槍使いの新星!シャン・ズィッテヒ!元鬼哭隊員、そして双蛇党でも名の知れたミコッテの勇!」

ふう・・義母さんと当たらなかっただけでもいいとするかにゃ・・。

「さらに!」ウグイス嬢の声が高まり。
「青組には、この方が!伝説の傭兵でもある、亡霊!フィズ・ディライト氏!」

おおおっ!
観客はどよめく。

「ししょー!かっこいいですう!!」ピンクのような淡い金髪のララフェルの少女が声援を送る中、ミコッテを探し続ける亡霊。

「次なるは!剣聖!双頭の使い手。ユパ!辺境での噂はこの耳に数多浮かびますっ!その手には!?」

ここにきて、ウグイス嬢はさらに盛り上げを。場内には、やはり初戦の陣容がどうしても気になる。

堂々の。

「青組!トリを飾りますは、漆黒の刃。クォ・シュバルツ!!!その金色の瞳にすでに対戦相手が見えているようですっ!」

「まてこら。おい。クォ?は?ありえない!」黒髪のミコッテの社長は、かなり取り乱したようで、足を散々踏んで抗議したようだが・・。
周りには、頼もしいメンバーの参戦に意気揚々と映ってる様子・・・。

「や。よろしく。」と涼しげな影のようなミコッテは、黒い甲冑に怪しげな表情。
「死ね。」と、ツルハシを見せ付ける、も・・。

「さて。赤組の最後を飾るは、血塗れ騎士、こと!ウルラ・コリーナ!彼も若いながら、数々の逸話を持つ勇者です!期待に応えられるでしょうか!」

(やれやれ、だな。シャンもいるのか・・。そして・・師匠もか・・。これは立ち回るのが大変だ。)青年は、戦術を考える。
ユパ氏はともかく、残る二人は打撃要員だ。対して向うはかなりバランスがいい、と思える。
間違いなく、あの黒い二人は攻撃に特化しているだろう。件の社長はどうだかわからないが、少なくともアーティファクト(戦術的工芸品)の白魔道士の装備だ。
あのツルハシだって、フェイクだろう。そして、ミコッテの格闘士にしても。恐らくは修業僧(モンク)レベルなのは確定。だとすれば。

こっちの打撃ポイントは、俺、師匠、シャン。ユパ氏はおそらく最初はフォローに回る。
なら。
逆で襲うか。

「ユパ氏。」
「どうした?作戦時間にはまだ早いぞ?」
「俺に少し、前半の作戦、いいです?」
「わかった。」

それでは~、各自、持ち場についていただきまして~。
ウグイス嬢の声が響き、会場に。期待と興奮と不安と葛藤が満ちる。

「青年!ウルラと言ったか!どうした!?」

作戦の内容など、確認をしたあと、5つ、数えます!
ウグイス嬢の声が続く。

「ユパ氏!、勝つに越したことはないですが。負けない算段を整えたいのです!」
「わかった。」

2、

1!スタート!
若い女性の声は、普段であれば耳に心地よいのかもしれない。
が。

「シャン!、右に回れ!、師匠!いつもの通り真っ直ぐで!」
青年は指示を出していく。剣ではなく、杖を持ったその手は青く光る魔力を二人に。

「なるほどな。」赤銅の肌のルガディンはにやけながら。
「こういうことだな。」その手には杖が。

双頭。だが、誰も剣とは。
術式を構成しながら、見た目には剣士の二人が先行する二人を追う。


----------コメント----------

(セネリオさんってなんかニガテだぁ・・。エリスとは全然ちがう~。エリスってすっごく分っっっかりやすいのに~~)
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年06月07日 21:15

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(>えふぃたん。そだね~w)
ちょっと違う成分がでていますw
このキャラとしてはw
エリスたんが楽しいw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年06月08日 02:17

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フィズ師匠?♪頑張るデス?o(T ^ T)o
もしも負けちゃったら……てぃんくが仇討ちするのデス( ̄^ ̄)ゞ
え?)www
Tink Brownie (Excalibur) 2013年06月09日 09:54

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>てぃんくたん。師匠はwww
この先の展開をお楽しみに!
たぶん、・・・・
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年06月10日 09:22

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