589外伝。コロセウム 幕間2

「ちょっとー。マユ?」
ザナラーン地方フェリードックに程近い村。
一軒の家での会話。
「なあに?母さん。」
「あなた、コレ。何か知ってる?」
「へ?」
グレイの髪を後ろにまとめ、どこか浮世離れというか。飄々とした女性。
かつて天魔の魔女の異名を誇り、活躍したが今は孫が可愛くて仕方が無い主婦である。
その主婦が手にしているのは、二つの封筒。
蜜蝋で封をされた書簡は括ってあるリボンに「招待状」としたためてある。
「さあ?」と。
娘が返答するや、一通の蜜蝋をナイフで削いで、目を通す。
「ありゃ?これってウルラ宛ね。」
「え?ウルラ?なんで?」
「さあ?もう一通は、と。」
同じく封を削ぐ。
「ああ。こっちはあたしだね。なになに・・・。」
「え?母さん?どういうこと?」
「んー、とね。マユ。こういうコトらしいわ。コロセウムのこけら落としの前に、模擬戦をやりたいんだって。って、コロセウムってウルダハじゃないよね?」
「ああ、そういえば。リムサ沖にコロセウムを作った、とか。ウルスリさんから聞いたわ。」
「そういや・・」「まーま。ばーば。」
「はいはい、ターシャ。ばーばですよー。」孫を抱き上げる。
「あたしより、母さんに懐いちゃってる・・・。」
「まあまあ。あなたもこんなだったわよ。」
「うぐ・・。」
薄いグレイの髪の愛娘を見て、過去の自分と重ね合わせて。
「そうだったかも。」と唇を尖らせる。
「あ、そうそう。ウルラ宛のも多分同じよ。」
「あたしには着てないのね。」
「まあ、その分あたしが暴れるけど?」
「母さん!まったく・・・落ち着いてよね。ホント。」
「ターシャも連れて見に来れば?観覧席も用意してあるって。」
むう。
「行くしかないでしょ。それって。」
「で、ウルラはどこ?」
「んーと、確かウルダハの剣術ギルドのはず。なんでも、師範がそのコロセウムに出向したとかで、師範代やってる。」
「あらら、ここ最近やけに見かけないとおもったら。」
「まあね。でもまあ稼ぎはいいから。」
「寂しいくせに。」
「ぐ、言わないで。もう。」
「ばーば、どこいくの?」
「ん、ターシャ。面白いトコロ。ターシャも一緒に行こうね。」
「うん!」
「あちゃあ。あたしの意見はこの際無しで・・すよね?」
「ウルラが帰ってきたら段取りしましょ。」
「はいはーい。」

「え?俺もですか?」
「みたいよ?ブラディナイト。」
女性3人に見つめられ。
「はい・・・。」
ウルラはここの家庭が女系一家だと改めて痛感した。


----------コメント----------

最初はニヒルだったウルラも、もまれにもまれて、今じゃまるくなったものですね(^_^;
まぁ海賊な亭主が丸くなって家事料理する様になるくらいですから「さもありなん」ですけどね~
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年05月19日 13:38

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>エフィたんwそだねえw
やはり1年以上留守にしてた引け目もあるかな?w
いまや尻に敷かれていますw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年05月19日 14:01

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目が覚めたら3話もあってびっくらこいたw
各地から名の知れた精鋭たちが集められるわけですな。
わくわく。
Fizz Delight (Hyperion) 2013年05月19日 14:41

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またまた魔女一家の大活躍が 見られるのですね?(((o(*゚▽゚*)o)))
黒猫サンも気になる今日この頃♪
Tink Brownie (Excalibur) 2013年05月19日 17:34

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>フィズさん、天下一武道会、開○だあっ!
結界の負荷実験ともいうw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年05月20日 12:08

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>ティンクたん、親子共演なるか!?
クォ様は・・・どうでるかしらw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年05月20日 12:13

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