573外伝。黒衣森の少女

漆黒ともいえる闇。
その森を、人は「黒衣森」と呼ぶ。

ティノルカ地方と呼ばれるその森は。
「黒を纏う森。」と。
首都グリダニアを覆う森は、いくつもの「魔」の地帯を持ち、中には魔女の樹などというものもあるらしい。噂だが、魔女が夜な夜な訪れるとか・・・。
ただ、興味半分で訪れた連中は返ってこない、まさに「魔」だと。

でも。そんなオカルトなど気にしないグループも居たりして。
「ワタシは平気だね。」とか。
「おねえちゃん、あたまおかしー。」「だめだよー。」
と。
小さな妹達をあやしている。
もちろん、そんな危ないトコロに行かせないためだが。
「これ!」と、母からゲンコツをもらうこともしばしば。
集団の、というか。
ミコッテや、エレゼンの部族としては、どうしても街に馴染めない少数派がいる。
マイノリティと呼ばれる彼女、彼らは、それでも街の近くに来ることもあり、そして離れていく。

サンシーカーだと馴染みやすいだの、フォレスターは人気だの、好き放題言われているが。
結局のところ、自分次第。
そこのところを「ワタシ、どっちかな・・。」まだ幼い少女は考えていて。
でも、とりあえずは。
母の弓術に憧れ、自分も母のようになりたい。そう。それが夢になっていた。


転機は訪れる。

弓の練習をしていた。
基本、弓は短弓と長弓に分かれる。

短弓。
簡単にいえば狩猟用の弓。引き絞る弦も軽めだが、その分早く撃てる。
だが、威力がどうしても稼げないため、やはり狩猟用で。
戦闘用の短弓、コンポジットボウと呼ばれる複合素材の強弓もあるが、ちょっとした集落にそんなものは無い。
母は持っていたそうだが、弦が無くなって破棄したそうだ。

長弓。
戦闘専用、といってもいい弓。逆にいえばこんな集落には必要ない。
射程は優に100メートルを越え、強弓なら300メートルまで届くという。
中るかどうかは別だが。
そしてそんな弓など、この集落では必要は無い。


「母さん、ワタシにもうちょっと弓の事・・・」
ガサリ。
「む。獲物・・・・」
ミコッテの少女は、短弓を構えそろり、そろり・・・。
やっと一昨日・・いや、その前か。
ちゃんと獲物を捕ってきたのだ。母も認めてくれた。
狙いをつける。
(本来なら、標的を見つけてからだが・・・やはり、若さだろうか?)

出てきたのは一人のヒューランの青年だった。彼は構えられた矢が自分を・・と思ったが、その少女の。少女の表情があまりにも。
「おい!あほタレ!なにしてやがる!狙うなら後ろだ!」
その声に力が抜け、少女は矢を放つ。
もちろん矢は明後日の方向に飛んで行き、青年の怒号を頂くこととなる。
「ガキが!無駄に矢を使ってるんじゃねェ!」
青年は立ち上がると、剣を抜き出し。
振り向きざまに大きなキノコを切り倒し、カニまでも屠ってしまった。
「あぶねー・・・。」
青年は剣についた体液を振り払うと鞘にしまう。
改めて青年は少女を見て。
「おっと。コイツは失礼したな。俺はハウンド、ッてんだ。ん?」
少女は・・・
尻尾をこれでもかというくらいに震わせ。
体も。全身が震えていた。
青年は・・・。「ああ・・・すまん。君は狩りに来てたのかな?怖がらせて申し訳ない。っと。こっちも用事があるんでな。じゃあ。」
「待って。」
「ん?」
「連れて行って。」
その時の少女の中に何があったのか・・・。
「おいおい。」
「いいから。でないと犯されるって叫ぶ。」
「げ?」
「犯されるって叫ぶって言った。ウソじゃない。」
「おいおい。俺は隊商の護衛するんだぜ?それもウルダハまでな。っていうかしてるんだけど。そこにガキ連れて戻るなんて、ありえないだろう?」

「たああすけてええええええええ!!!!!おかされるううううっ!!!!!!」
口を押さえ。
「このガキ。」
涙目のミコッテの少女は本気らしい。
「むぐぐ!!」
「ああ、悪かった。」手を離す。
「おか・・」手でふさぐ。
「どうしたいんだ?いいか?死ぬか、犯されて死ぬかどっちがいい?こっちも時間が無い。できれば素直に死んでくれ。だが最良はこのまま家に帰れ。」
猟犬、のふたつ名の彼は優しく。

「犯されてもいいから、連れて行って。」
「ガキに興味ねえ。って。でもまあ・・・今は・・・しょうがねえ。隊商にいったん戻る。
そっから身の振り方を考えよう。ついでに言えば、ココでくたばれば、死体はスゲエ事になる。
まあ、巣箱みたいになるな。犯されるよりヒデエぜ?」
「ひっ!」
「じゃあ、行くぜ!」


----------コメント----------

>エフィさん。すみません(´・ω・`)
勝手に過去話作っちゃいました・・・。
こんな感じかな~なんて・・・。
不適切な表現などしまくりですが、どうかご勘弁・・・。
ダメなら消しますから。
そういうわけで・・・。
ただ、言い訳(こんな情勢で数人単位のコミュニティだと、こういう事は起こり得る、と。リアリティを・・・)すみません。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年04月28日 07:47

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Marth Lowell (Durandal) 2013年04月28日 08:05

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エフェメラが生きてるw ありがとうございます。TRPGリプレイ読んでるみたいで楽しいです。どうぞ好きに動かしちゃってくださいませ。
この時のエフェメラって、いくつだろw 考えが幼いから… 11~2歳くらいかな?
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年04月28日 15:22

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>マルスCEO、たびたびお世話になっております・・・。
とりあえず、なんとかやってみますね。
ありがとうございます。(´・ω・`)
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年04月29日 00:40

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>エフィさん、公認ありがとうw
リプレイ楽しいですよねw
一応、設定的には年齢が決まってない(今の年齢設定がわからないので・・・)おおよそ、10代前半だと考えてます。
それと、この時代?だといわゆる「数え歳」なので、0歳が無いから今より一つ歳が上になってます(例、マユ15~6ですが、初期は14です。)
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年04月29日 00:45

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