567外伝。撤退。

「重イ・・・。」
身長でいえば、1・5倍近くあるエレゼンの男性を、小柄な少女が背負って走る、どころではない。足を引きずって歩いている。

戦場からかなり離れたはずだが、この先の峡谷は魔物がウヨウヨしている。
置いていくか・・・。一瞬そう考えたが、さすがにソレはないよなア。
まず第一に。移動術式が使えない。
これがどういった現象なのかがわからない。
次に、このオッサンを背負ったままこの峡谷を越えるのは不可だ。
第三。もう考えるのが面倒になってきた。

「おい!キーファー!」パールで伝心をする。
「なんですかい?」と飄々とした。
「なんデ移動術式が使エねえンだ?」
「あ・・。それですか・・。今さっき、火球が飛んだの見てますよね?」
「あア。」
「それでですね、グリダニアのエーテライトに直撃しちゃいまして。」
「はァ?」
「まあ・・・なんといいますか・・。周辺は悲惨極まりない状況で。」
「家のメンバーは?」
「ああ、それは大丈夫です。ただ一部の住宅街に被害が出てるようで、
待機組の鬼哭隊が応対にあたってますね。こっちの被害はまだ判りませんが。」
「そウか。」
「あ、フネラーレ。」
「ア?」
「今、聞いた話だと、ブランチなら飛べそうです。」
「ベント・ブランチ?くソ、近いような遠いようナ・・。」
「しかし今グリダニアには直接飛べませんし、もし飛んでもメチャクチャですよ?」
「わかッタ。」

「テレポ!ベント・ブランチ!」
蒼い光に包まれ、移動術式が構築され、展開される。


薄暗い森の中、青い白い浮石のもと。
大火傷をしたエレゼンの男性を抱え、助けを請う。
「おイ!誰かイないか!」
なんだか。
そういえばリムサ・ロミンサでも同じ事をしたような気がする。
だが、誰もいない。衛兵すらいないのだ。
「ち、このクソ野郎どもガ。」
そこに。
「君のような女の子がそんなコトを言っちゃあダメだ。」
担いでいたエレゼンの男性。
「あ・・?」
「これでも・・。師からは厳しく叩き込まれていてね。」
「誰だヨ。ってか、大丈夫なのカ?」
「いや、全然。だけどね。」呪を紡ぐ。「癒せ。」蒼紫の光が体を包む。
「ふう。痛すぎて構成がちゃんと編めるかが心配だったけど。なんとかなるものだ。シ・ヴェテックト師。感謝します。」
赤いローブの袖を見つめる。
「デ?どうすル?」
「どう?とは?」
「グリダニアはかなり、ヤラれたらしい。」
「うーん。家族が心配だな・・。」パールを取り出し。
「うん、家族は大丈夫だ。が・・。家が燃えちまったらしい・・・。」
「そうカ。それは災難だナ。僕の方は大丈夫らシいけド。」
「まあ、一度帰るとするか。」
「そうだナ。」


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二人共無事で、良かった!
Fizz Delight (Hyperion) 2013年04月24日 21:57

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>フィズさん、そこからの~w
逃げw
てか、外伝なのにーw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年04月25日 01:50

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